パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2015年3月30日月曜日

Blending Tobacco Latakia-Cypern (Torben Dansk)




トーベンダンスク・タバコ・スペシャル・ブレンディング・タバコ・ラタキア・シーパン(キプロス)
使用葉:キプロス産ラタキア(100%)
原産国:ドイツ(DAN)
価格:1950円/50g(2015)

ラタキアとは、簡単に言えばオリエント葉の燻製です。
シリアの地中海沿岸にあるラタキア地方で、余ったtobaccoを家の中、暖炉(囲炉裏)の天井に吊るしていたところ、燃料として使われていたラクダの糞でいぶされてできた燻製がオリジナルと言われています。

乾いて縮れた真っ黒な葉色と独特の薫香、スパイシーさと熟成された風味が特徴で、イングリッシュミクスチュアのブレンドには欠かせない葉になっています。
現在は需給のバランスや政情不安等の影響でシリア産よりもキプロス産の方が多く用いられているようですが、今でも一部の英国産ミクスチュアにはシリア産が使われているようです。
シリア産とキプロス産のラタキアの違いについてはシリア産ラタキアの時にまた改めて紹介したいと思いますが、我々が普段ミクスチュアのtobaccoを買い求めてお目にかかる「ラタキア」風味の多くはキプロス産で薫香が強く喫味にラタキアの風味付けが如実に現れるのが特徴ですが、オリエント由来のアロマの複雑さはシリア産にやや劣ります。

そもそもラタキアはとても薫香やアロマが強い割にtobaccoとしての風味は単体では現れにくく、ラタキアのみで喫うことはまずありません。ミクスチュアの10%〜50%の割合でブレンドすることによって、他の葉に隠れていた風味を引き出し、パイプの複雑な味わいを引き出してくれる調味料のような存在です。

このトーベンダンスクのラタキアもパイピストが自分でブレンドして使うことを前提に売られています。

僕はこのブレンド用ラタキアを、サミュエルガーウィスのバージニア系(フルバージニア、ゴールデングロウ、ベストブラウン、1792フレーク)と合わせて使うことが多いです。

特に上質なバージニアのゴールデングロウとの相性は抜群で、バイト(舌荒れ)を和らげ、美味いが単調になりがちなバージニアの風味に複雑な変化をもたらして豊かな喫味とアロマに変化します。50:50ぐらいでブレンドするとかなりディープなミクスチュアになります。

1792フレークとのブレンドはさらに複雑で、アロマが際立って強くなり深い沈思の世界に浸ることができます。こちらは1792が七割、ラタキアが三割程度が双方の良さをもっとも深く味わえるかもしれません。
ブレンドする際はフレークを揉みほぐしてラヴドの状態にしてミックスします。

ちなみに100%で喫うことも可能ですが、元々甘みやニコチンの弱いオリエント葉をかなり深く燻製化しているため、オリエントならではの脂っぽさもなく単調で渋みばかりが前面に出るので喫味面での充実感はありません。アロマも、どことなく熟成の深い葉巻を喫っているようなアロマは味わえますがバージニアとブレンドした時のようなたっぷりとしたアロマには欠けます。

TorbenDanskのブレンド用シリーズには他にシリアラタキア、オリエント、ペリク、ヴァージニア、キャベンディッシュなどがあり全てドイツのDanTobaccoが作っています。
先に紹介したBill Bailey's Balkan blendもDanTobacco製で、おそらく同じ素材のキプロス産と思われるラタキアを半分程度使っているように思われます。ラタキアミクスチュアならではのスパイシーな薫香を楽しむことができます。




2015年3月25日水曜日

初号スーパーニッカ復刻版

マッサンも今週で最終回、ニッカ復刻版もいよいよ大トリです。

スーパーニッカは1962年の発売以来、都合2回のモデルチェンジをしていて、現行は3代目になるそうです。

僕は2代目スーパーニッカ(現在は廃盤)しか飲んだことはありませんし、もうその味もかなり記憶のかなたですので細かい飲み比べをすることはできませんが、わざわざここで飲み比べなどしなくてもスーパーニッカが美味い一流のウイスキーであることは十分に知られていることですから必要ないことでしょう。

スーパーニッカがニッカの最上位商品であったころ、現在の我々が知るところの「余市」の香り、味、余韻というのは、まさにこのスーパーニッカそのものであり、ニッカ…というより日本のウイスキーの最高峰と言って差し支えないものでした。
スモーキーフレーバー、スムーズさ、パンチ、甘みと濃い風味、そしてバニラ香、これが「ニッカの酒」そのものであり「ウイスキーそのもの」でした。

また自分にとってもカティ・サークと共に「ウイスキーというのは美味いものだ」と知ることになった最初の酒です。

スーパーニッカ全盛の時代は1970〜80年代。ジャパニーズ・ウイスキーの代表はサントリーオールドとサントリーリザーブ、そしてこのスーパーニッカが担っていました。
しかしながら、サントリーファンにはやや申し訳ない話になりますが当時はオールドもリザーブもストレートではお世辞にも美味いとは言い難い、なんとも珍妙な味がしたものです。
特にオールドはアルコール臭と共にやってくるべたつく様な甘さといつまでも残る後味は何がどうしてそうなるのか理由は分かりませんでしたが「ウイスキーとはまずいもの、だから水割りにして飲むもの」というイメージに直結していました。
確かに水割りにするといくらでもするすると飲めたものでしたが、ウイスキーというよりはよくできたカクテルのような感じです。

僕が初めてスーパーニッカに出会った時、ウイスキーには独特の言語がありその言語を理解してこそウイスキーならではの美味さというものがあるということに気が付きました。
カティサークでストレートの美味さを知り、スーパーニッカで味わいの複雑さ、奥深さを知りました。

本来はスーパーニッカはオールドよりもむしろリザーブの上位銘柄として位置しています。
しかし当時の実際の世間のイメージは
リザーブ→高級クラブやバーのキープ用
オールド→バーと寿司屋の定番
スーパーニッカ→通向け洋酒居酒屋で見かける程度

というような扱いになっていました。
そういえば同価格帯にはキリンのロバートブラウンという優れたカナディアン・ウイスキーがありました(これも現在とは全く味が違う)が、こっちはもはやキワモノ扱い。

スーパーニッカの味はそれらのウイスキーの中でも別格でした。
ビシッと決まるスモーキーフレーバー、キレのよい舌触り、自然な甘み、フルーティな鼻に抜ける香り、そしてビターチョコレートのような苦味の後に来るバニラ香。いくら飲んでも飲み飽きない複雑なフレーバーが次から次へとやってきます。

国産シングルモルトウイスキーのない時代には、これほど味わいが深くて濃いウイスキーはなく、あとはオールド・パーやジョニ黒などの高級スコッチを探すしかありません。


この復刻版を口に含む度、ウイスキー原体験だった二代目スーパーニッカの記憶がよみがえってきます。
残念ながら初代と三代目は味わったことがありませんが、こうして復刻版を味わっていると、ビターがやや復刻版の方が強く、またフルーティさが二代目の方がややあったような記憶もあり、しかしそれぐらいの違いしか思い起こせません。そう考えると初代〜二代目にはそれほど味の変化はなかったのかもしれません。

他聞によれば三代目はかなり大きくスモーキーさが失われたとか。
ニッカの他のブレンデッドウイスキーも昔に比べるとずいぶん甘くスムーズに変化してきているので、スーパーニッカについてもその辺の変化は容易に想像できます。

もっとも今のニッカも美味いです。それはやはり時代とともに求められるものも変わり、また我々の味覚も変遷しているのですから当然そうなるのでしょう。
サントリーにしたって昔は不味いなあ嘘っぱちだなあと思って飲んでいたのに、いつのまにか「あれ?意外に美味い」と感じる酒が増えているのですから。
変わったと言われる現行のスーパーニッカもぜひ飲んでみたいと思っています。

ボトルのフォルムもちょうど二代目と同じです。願わくばボトルについても初代の手吹きのボトルを復刻して欲しかったですが、コストの問題でそれは無理な注文というものでしょう。

初号復刻版を、僕は自分自身のウイスキーの素晴らしい原体験である二代目スーパーニッカの思い出として味わっています。

おすすめはトゥワイスアップ(ウイスキー1に対して、常温水を0.5〜1の割合で)。シングルモルトとはまた違う、そして凌駕する素晴らしい芳香と風味が口の中に広がります。






2015年3月20日金曜日

家飲みスコッチモルト 〜The GlenLivet 12年〜


友人に薦められて家飲み用に入手したグレンリヴェットの12年。
現在日本国内で最も安価に手に入る12年シングルモルトの一つではないでしょうか。実売は2500円〜4000円前後/700ml。ニッカの余市や宮城峡の12年物をしのぐコストパフォーマンスです。

ピート香はさほど強くなく花の香りが強く出ています。シェリー樽のカスク香と甘みがとても強く、濃厚でとろっとした味わいです。宮城峡にとても良く似ています。余韻もブーケのようです。

ストレートがもっともこのお酒の良さを感じることができるでしょう。
飲みやすくスムーズですが、加水してゆくとどうしても香りが散漫になり、味にも苦味が出てきます。アロマもそれほど強くはありません。
このことを僕は欠点とは思っていません。むしろこのクセのなさ、ストレートでのフローラルな味わいはモルトの入門編としては非常に優れています。

アルコールの角は少しだけあります。例えばジャパニーズ・ウイスキーで例えるならノンエイジとして扱われるレベルの熟成度合いです。
やはり気温が低いスコットランドと高温多湿の日本ではエイジングの年数に若干の差が出てくるのかなあと感じます。

最近台湾のKAVALANが創業7年目にしてスコッチを凌駕する味で話題になったり、日本の誇るイチローズ・モルトも決して本場と同じ環境で熟成されたものでないということを考えると、もしかするとウイスキーというのは意外にも高温熟成で良いものが速成できるのかなと想像したりしています。

まあ、それでもウイスキーというのは本来なら何万円も出して飲むようなお酒ではないという僕の信条からすれば、12年というお酒の時間そのものが手軽に入手でき、自宅でもったいながらずに飲めるという事の方がずっと重要なことです。

スコッチウイスキーにはいくつか有名な産地がありますが、グレンリヴェットはハイランド地方のスペイサイドという地区で作られています。
スペイサイドのモルトは甘く香りが高い華やかな味のモルトが多く、グレンリヴェットもその特徴をよく持っています。

それにしてもスコッチ、特にハイランド地方には「グレン」の付くブランドがありすぎです。
グレンドロナック、グレンリベット、グレンフィディック、グレンゴイン、グレングラント……まだまだあります。どれも美味い酒ですが、バーで酔いが回る度ごちゃごちゃになってしまうのが悩みの種です。




2015年3月17日火曜日

スコットランドの家飲みウイスキー 〜The Famous Grouse〜


スコットランドでもっともポピュラーと言われる「ザ・フェイマス・グラウス」(ノンエイジ)。
ボトルラベルにはスコットランドの国鳥である雷鳥(グラウス)が描かれています。
マッカランやハイランドパークの原酒をマリアージュしてブレンデッド・ウイスキーに仕上げています。

実売1200〜1500円、国産だとサントリー角やブラックニッカスペシャル、リッチブレンド辺りと似たような価格帯になります。

味はニッカの同価格帯のウイスキーにとてもよく似ています。ハイランドをお手本にしてウイスキーづくりを始めたと言われるニッカの方が似ているのでしょうけれど、どちらもいわゆる正統派スコッチのベクトル上にあります。

ブレンドに関してはハイランドパークよりマッカランの方が多めの感じで、軽めのピート香、ズシッと来るカスクフレーバーとコク、蜂蜜のような甘み。決して初心者向きではありませんが、味は濃厚で飲みごたえがありながらスムーズで飲みやすいウイスキーです。

1000円前後のブレンデッドスコッチはアルコール臭がきつかったりして、安酒のイメージが拭い切れないものが多いのですが、このフェイマスグラウスはアルコール臭はあまりせず、ふくよかさと甘みが勝っています。

ただ余韻に若干の苦味は残ります。この苦味は好き嫌いが分かれる部分かもしれません。決して奥行きのあるものではなく、飲んでいるうちに何かのアテ(マリアージュ)を要求してきます。
スモーキーフレーバーがもう少し強ければこの辺は美点に変化すると思うのですが、スムーズさとの兼ね合いになるので敢えてそうしないところなのかもしれません。
試しに手元にある余市の10年を少しだけ垂らしてみると実に素晴らしい後味になりました(笑)
それはともかく味の濃厚さという意味ではかなりコストパフォーマンスの良いお酒ではないでしょうか。ベテラン向きです。

ところでバーに行けばもっぱら珍しいシングルモルトやカスクストレングス(水で薄めていない樽出しのモルト。55%〜65%とアルコールが強いのが多い)を頼みます。
しかし高くて美味いのは当たり前、バーでワンショットだけ舐めて「美味い不味い」を言ってもあまり意味がないように思います。だってどれも美味いのですから。
ラムやシェリーと同様、シングルモルトには風景があります。その風景を感じるにはワンショットで十分です。

ところがそのワンショットの値段で一瓶買えてしまうぐらいの安ウイスキーと毎晩向き合っていると、カスクだスモーキーだ風景だという前にその美味い不味いの二値がとても気になる項目になってきます。

効率の悪い蒸留方法で作られた農産品でありながら、同時に画一化された工業製品であることも求められるウイスキーへのブレンダーの工夫、苦心、誠実さ、魂胆、妥協…。いろんな思い。
この「例の有名な雷鳥」はブレンダーのストーリーも含め、そんな期待や想像に答えてくれる良いウイスキーだと思います。










2015年3月14日土曜日

McClelland Frog Morton





マクレーランド・フロッグ・モートン
使用葉:ラタキア、バージニア
原産国:アメリカ
価格:2500円/50g(2015)

一言で言い表せば、ラタキアのアロマを存分に味わうtobacco……。
いや、もう少し踏み込んだ言い方をすれば、オリエント的なアロマを楽しむtobaccoと言えるでしょう。

ミクスチュアのレシピはラタキアとヴァージニアとなっていますがラタキアの割合がとても多く、葉様はほぼ黒色、時折ダークブラウンのヴァージニアが見え隠れする程度です。
香りはほぼラタキアの薫香、そして微かな酸味を感じます。

さて、この酸味香の正体は一体何から来るのか、実際に燻らせてみるとどうもラタキアだけではないような気がします。
というより、このラタキア、軽い。
そして喫味にラタキアの原材料であるオリエントの名残がかなりある。
(ラタキアはオリエント葉をらくだの糞で燻製したもの)

察するにオリエントの燻製度合いに差があるものをブレンドしているか、あるいはキプロスやシリア(現況では殆どあり得ない)から輸入したラタキアではなく、オリエントをメーカーが独自に燻製しているのでは?と思わせる軽さを感じます。


例えば本場のラタキアが50%も入っていれば、かなり渋くて濃い喫味になります。残り50%にバージニアが使われればバージニアの甘みは十分に出ます。
しかしこのフロッグモートンはあまり甘みを感じず、そして渋みもそれほどではありません。
味はほんのりと爽やかな甘さと、ほぼ全域に渡ってラタキアとオリエントのやや脂っこい、まとわりつくようなアロマのみです。
しかし生のオリエントほどにはしつこくない。
むしろ爽やかな感じさえ受けます。

燻蒸の度合いがコントロールされ、オリエント葉がラタキアに変わってゆくグラデーションをうまく表現しているような喫味に仕上がっています。
生葉の酸味香も、この燻蒸度合いが関係しているように思えます。

オリエントのコクを持ちながら決して胸焼けすることのない軽さを持ち、ラタキアの深みを持ちながら決して渋さに嫌気が差すことのない爽やかさを持っている、そんなtobaccoです。

喫味そのものよりも、煙量をたっぷりめにして、アロマを重点的に味わうといいと思います。パイプtobaccoはシガレットと違い主流煙だけでなく副流煙がとても大切な味の「ファクターとなります。シガレットのように有毒な紙の副流煙ではなく純粋にtobaccoの葉だけが持つ芳醇なアロマを提供してくれるのです。
喫味は軽くアロマは深く。
オリエント重視の葉は喫っているうちにその濃いコクにうんざりしてくることもありますが、この葉はそんなことはありません。

やっぱりオリエントとラタキアのアロマはいいなあ…そう思わせてくれるtobaccoです。
気に入りました。

時間帯は全日、合う飲み物はビール、ウイスキー、水など。
舌焼け、ニコチン酔いの心配は殆どなし。


  1. 生葉芳香 弱←○○○○○○★○○→強
  2. 甘  み 弱←○★○○○○○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○★○○○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○○★○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○○○★○→濃
  6. 満喫感  弱←○○★○○○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○★○○○○○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○○○★→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強

2015年3月2日月曜日

Dunhill Night Cap




ダンヒル・ナイト・キャップ
使用葉:ラタキア、オリエント、ペリク、ヴァージニア
原産国:デンマーク(OEM。ブランドはイギリス)
価格:1,750円/50g(2015)

昔々「パイプ覚えたての半可通はとにかくダンヒルしか認めない。他の英国葉を覚えたての半可通がそれを嗤う」というのをベテランスモーカーが言うのを聞いて、半ば自嘲気味に笑ってしまった事がありました。

さて今の僕はどっちの半可通だろう?と自問自答しつつこの歳になって初体験の(!)NightCapを開封してやはりダンヒルはいい香りだなあ、美味いなあと感心を新たにしました。

ブランクを挟んで長いこと965にお世話になっていますが「OEMになってからのダンヒルは不味い」という評には若干の抵抗感もなきにしもあらず……というのも、他のダンヒルの葉はどうか分かりませんが965を開けるたびにどうも缶かロットかによって味にばらつきがあって、美味い時となんか味気ないなあと感じる缶があるからです。
この辺のばらつきがOEMになってからのダンヒルtobaccoの評判を下げたのではないかなと思うところもあります。

それでもダンヒルのラタキアの芳香はやはり他とはずいぶん違う柔らかくて熟成が渋い、まるで高級な紅茶のような趣があるし、オリエントは鼻腔に都会の大人の香りをまとわり付かせて止まないのは確か。もしかして自社製造していた昔とはヴァージニアやキャベンディッシュの品質は変わったかもしれません。
しかしダンヒルのラタキアやオリエントの風味やブレンドは、独特の品格があります。



ナイトキャップはそんな中でも際立って素晴らしい芳香を持つ葉です。
現在国内で手に入るダンヒルの葉の中で唯一、ペリク配合のミクスチュアで、それが他のミクスチュアとの大きな違いですが、僕はこのナイトキャップの最大の特徴はオリエントとこのペリクのコンビネーションではないかと感じています。

基本はラタキアとヴァージニア、そしてオリエントの典型的なイングリッシュミクスチュアですが、ペリクの独特の熟成香と爽快感が全ての葉の個性を前に前に押出してきます。

特筆すべき点はアロマです。鼻腔に抜ける全ての香りはパイプ葉のお手本のような熟成感、それが終盤に向かってペリクによってまとめられナッツと磨き上げられた家具に触れているような深い満足感を提供してくれています。

「過不足のない」これがダンヒルの持ち味ですが、ナイトキャップは全てが濃厚に、コントラストがくっきりと際立っています。

ダンヒルラインナップ(国内)の中ではロイヤルヨットと並んでこってり感の強い葉ですが、方向性は965やロンドンミクスチュアの上級編といった感じです。
その名の通り、夜、グラスを傾けながらゆっくりと沈思に耽る時にピッタリのtobaccoだと思います。美味いtobaccoです。

舌荒れ、酔いの可能性は中程度、時間帯は夜、合うのはウイスキーなど。

  1. 生葉芳香 弱←○○○○○○★○○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○★○○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○○○○○★○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○★○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○○★○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○★○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○★○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○○★○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強