パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2014年9月12日金曜日

桃山II (Momoyama II)




桃山II
バージニア他 着香
原産国:デンマーク
ブランド:日本(JT)

日本たばこ(旧専売公社)にはイギリス風ミクスチュアの「飛鳥」とコンチネンタル風着香系ミクスチュアの「桃山」という二つパイプたばこがあった。

現在も、デンマークのマクバレン社のOEMで販売が続けられて、それぞれ「飛鳥II」「桃山II」という名前になっている。

2014年11月から桃山は「桃山III」にモデルチェンジするというので、その前に「II」を味わっておきたいと思う。

葉様はリボンカットのミクスチュア。開封した瞬間、甘い洋酒漬けのような芳香が広がる。「ん?」と思い当たり注意深く嗅いで見る。

SweetDublinとよく似ている。似ているがもっと華やかで明らかに着香系という感じだ。

補足情報を求めて複数のテイスティングのサイトを巡ると「ラム着香」という言葉に複数つき当たる。

先入観を持って嗅げば確かにラムと言えなくもないが、ラム酒好きの僕からするとこれを「おお!ラムだねえ」と言うのはちょっとはばかられる。

桃山IIのこれは、ラムといってもおそらく廃糖蜜によるスピリッツとカラメル、フルーツ香料による着香と思われる。まあ、それでもウソにはならないのだが、ゴールデンバットにせよ桃山にせよ「ラムの香りがします」と軽々しく表現はできない。

ただしこの洋酒的な芳香は決してけれん味のあるものではなく、他の着香系tobaccoに比べたらよく抑制の効いた穏やかな感じで好感が持て、燻らした時のアロマにその特徴がよく現れる。

火付きも火持ちも申し分ない。ほぐしも馴染ませも要らず、無造作にパイプに詰めても何の苦労もなく喫える。

序盤はやや複雑なアロマが支配する。干し草、カラメル、ぶどうの香り。煙量は多めだが、総じてマイルド。
喫味はとても軽い。軽いというより、第一印象は「味がない」である。バージニアの甘さを期待するとやや肩透かしを食らうかもしれない。

中盤は、如何にもタバコらしいアロマに変化してゆく。喫味にも「当たり」のゴールデンバットを燻らした時のような、微かだがキレのよい甘さが出てくる。
時折ほのかな酸味が顔を覗かせる。

スピリッツによるケーシングの良さが現れるのはこの辺で、とてもバランスの良い熟成感が喫味とアロマの両方からじわりじわりと顔を出してくる。

終盤は早めにやってくる。アロマは相変わらず好感が持てるが、喫味の方はエグみ、辛味が支配し始め、舌荒れの予感が迫る。この辺は他のコンチネンタル系のミクスチュアと同様。
ニコチン酔いの危険性はない。舌荒れはややある。パイプは大きめのものがおすすめ。

良くも悪くもマクバレンのtobaccoだが、日本人好みの優しいtobaccoであるとも言える。
総じてアロマが朗らかで良い。タバコらしさを失わず明るい感じだ。半面喫味の奥行きはない。奥行きはないが飽きもこない。逆を返せば喫味に余計な味がない分、初めてパイプを始める人のための導入tobaccoとしても優れていると思う。チェーンスモークも全く抵抗がない。

これがもし、もう少し生葉の着香を抑え気味にして、バージニア本来の甘みが少しばかり増したらもっと素晴らしいtobaccoになるに違いない。
桃山IIIへのモデルチェンジがそうであるように願う。


時間帯は朝〜昼。
合う飲み物は水、紅茶、コーヒー。

1290円/50g(2014)

  1. 生葉芳香 弱←○○○○○★○○○→強
  2. 甘  み 少←○○★○○○○○○→多
  3. 味の濃淡 淡←○★○○○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○★○○○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○★○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○★○○○○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○○★○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○○★○→良
  9. 常  喫 無←○○○○○★○○○→有
  10. 個  性 弱←○○○○★○○○○→強



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