2015年1月29日木曜日
速報インプレ 〜初号ブラックニッカ復刻版〜
tobaccoのブログのはずなのにウイスキーネタが続いてしまいますが、それもこれも初号ブラックニッカ復刻版の美味さにぶっ飛んでしまったせいです。
近々発売されるとは聞いていましたが発売日までは知らず、たまたま入ったスーパーの棚にあったのを買ってきました。後で確認したら発売初日(1/27)でした。
呼ばれてました。
この初号ブラックニッカ復刻版は、創業者竹鶴政孝氏が1956年にブレンドし発売された初代「ブラックニッカ」の復刻版だそうです。
初代ということは二代目もあるわけで
初代:1956〜1965
二代目(スペシャル):1965〜
となっていて、ブレンドが異なります。
その他にブラックニッカという名前が付いたウイスキーには
ブラックニッカクリア(コンビニでも売っている最廉価版)
リッチブレンド(シェリー樽原酒を使った甘い香り)
ブラックニッカ8年(8年以上熟成の原酒を使ったブレンデッド)
と、なんかゴタゴタしています。
とまれ初号復刻版。
まずは手短に第一印象を書いておきますと、コク、パンチ、ピート、甘み、レーズン、バニラ、チョコレート、潮味、キレ、深い長い余韻。
全部ある。これでブレンデッド。
特に香りは余市譲りのバニラとピート。さすがにモルトには及びませんが(当たり前)、しっかりと受け継いでいます。
余市のグレーン割り。そのグレーンも上質。そしてWebページの説明によるとノンチル(常温濾過)。
現行のブラックニッカスペシャルやリッチブレンドも十分美味いのですが、この復刻版は反論を覚悟の上で正直に言ってしまえば、香りを除けば風味やウイスキーらしさの点ではサントリー「山崎」のノンエイジより上。これで1500円/720mlとは、いくらマッサン放映中とは言え、ニッカさん飛ばし過ぎでは? と心配になってきます。
ブラックニッカリッチブレンドとはもう比較になりません。
リッチブレンドが美味いとは言え最初の飲みくちにアルコールの刺激が強く出るのに対し、初号復刻版は口に含んですぐにとろりととろけ、さらにピュアモルトのようなパンチとコクが舌に広がります。その後濃厚な風味が広がるのですが、その奥行きは雲泥の差です。
残念ながら最近現行のスペシャルにお目にかかってないので、スペシャルとの飲み比べができないのですが、復刻版でこれほどぶっ飛んでしまったということは、自分の記憶と舌を信じる限り、やはりかなりの違いがあるように思えてなりません。
こんなにトロっとはしてなかたし、ロックが合うウイスキーだったような気もするし奥行きも違うなあと、ぼんやりあいまいな感想。
しかしスペシャルも価格の割にはかなり上質なウイスキー。ライバルのランク上のウイスキーやブレンデッドスコッチを凌駕する味ですから、そのうち入手してしっかりと飲み比べしてみたいと思っています。
ロックや水割りが美味いかストレートが美味いかは、ブレンデッド・ウイスキーの場合、選択のとても大きな目安になると僕は勝手に思っているのですが、この復刻版はストレートが本当に美味いです。
水や氷で割るのが本当にもったいなくて、普段はシングルモルトをちびちび加水しながら飲む僕が、気が付くとチェイサーなしで二杯三杯と空けてしまうほどです。
12万本(1万ケース)の限定販売だそうです。
来月下旬にはハイニッカの復刻版も出るそうです。
2015年1月27日火曜日
ジャパニーズモルトの定点 〜ピュアモルトから余市へ〜
「余市」は日本を代表するシングルモルトウイスキー、ニッカ創始者竹鶴氏の酒造りの哲学を感じさせるウイスキーです。
スモーキー、ピーティ
濃厚
フェノール、カスク香
重厚さ、力強さ
バニラ香
フルーティさ
塩味
ウイスキーに欠かせない全ての要素をバランス良く持った稀有の存在です。
「余市」を飲むたびに、これ以上のものは要らないなあとつくづく感じます。
「宮城峡」が女性的なら「余市」は男性的なウイスキーと言えるでしょう。
その先祖というか露払いというか、そういう役目を果たしたモルトウイスキーがあります。
日本でピュアモルト(大麦麦芽だけで蒸留〜熟成された、グレーンを混ぜないウイスキー)のウイスキーが販売されるようになったのは比較的新しくて1980年代です。
1982年頃にニッカから「シングルモルト北海道」が、続いてサントリーから1984年に「山崎」が発売されます。しかしこの頃はまだ日本ではブレンデッド全盛の頃で、また二つともかなり高価だったこともあって全くと言っていいほど認知されていませんでした。
それどころか「モルト」という酒の概念すらよく知られておらず、「山崎」のCMの名コピー「何も足さない、何も引かない」はアンチ派をして逆に「やっぱりサントリーは今まで混ぜ物だらけだったか」と邪推させてしまうような始末でした。
ニッカ「シングルモルト北海道」に至っては認知度はほぼゼロ。僕も存在は知っていても実物は一度も見たことがありませんでした。
まあそれでも今日の日本のウイスキーの「モルト」全盛のきっかけを作ったのはサントリーの地道な宣伝啓蒙のおかげといって間違いないでしょう。
一方、誰でも飲める安くて旨いモルトを日本で初めて作ったのはニッカです。
その名も「ピュアモルト」。
1987年発売で、僕も発売と同時に酒屋に走ったのを覚えています。赤、白とあって、確か後から黒が追加発売されたような記憶もありますが…3つ一緒だったかな、記憶が定かではありません。とにかく赤と白を抱えて帰った憶えがあります。
第一印象は、「濃い!強い!きつい!」でした。スモーキーでピーティー、
とにかく今まで飲んでいたブレンデッドのウイスキーとは別物で、香り、味の全てが濃厚でコントラスの強いものでした。
特に白は当時はアイラ・モルト(スコットランドアイラ島で作られるウイスキー、ピーティで個性的なウイスキーが多い)をバッティングしていたらしく、ピート香が当時としてはあり得ないほど強かったのでした。
一本(500ml)を空けるのにずいぶんと長いことかかりました。
これでは売れなかったと思います。
それでも飲みなれるとその力強さと味の濃さの虜になり、その後しばらくはウイスキーといえばモルトしか飲めなくなってしまった時期が長く続きました。これのおかげか知りませんが正露丸風味のラフロイグを初めて飲んだ時にも「美味い!」と素直に思えました。
その草分け的な「ピュアモルト」がやがて「余市」「宮城峡」に発展していきました。
《その他に「オールモルト」(「女房酔わせてどうするつもり?」という中野良子、田中美佐子、石田ゆり子らのCMとコピーで有名)や「モルトクラブ」というウイスキーもありますが、この二つはは若干伝統的なモルトの作り方とは異り、厳密にはブレンデッドウイスキーの部類に入ります》
ピュアモルト「黒」は「余市」と、「赤」が「宮城峡」と似ています。
「白」だけは現在、該当する商品がない感じです。やはりアイラ風味に振った味わいは、ジャパニーズウイスキーとしてはやや受け入れられ難いのかもしれません。
ちなみに「竹鶴」は「余市」と「宮城峡」のバッティングで、余市をまろやかにしたような味わいです。
ともかく「余市」ですが、芳醇な香りとアイラ的な力強さの両方を兼ね備えています。
「ノンエイジ」はウッディで力強さが際立ちややアルコールの角が残り男っぽい味わいが身上ですが、余韻のバニラ香がとても強く、気が付くと引き込まれてゆく深い味わいを持っています。特にハーフウォーター(ウイスキーをその半分以下の量の水で割る)ではパッと香りの花が咲いて、廉価版とは思えないほどです。
「10年」はややアルコール度数が高いのですが、逆に飲みやすくなっています。
アルコールの角が取れてまろやかになり、滑らかで甘く、フルーティさがやや出てきており、芳醇で心地良い余韻がいつまでも続きます。ただしバニラ香と潮味は少し弱くなっています。
味わいや余韻は明らかに10年、12年と経つに連れて深まっていきますが、ノンエイジが劣っている訳ではなく甲乙つけがたいところがあります。個人的にはノンエイジのはっきりとした味わいが好きです。よく売れているスコッチモルトの12年ものにも負けてないと思います。
ウイスキーはモルトにせよブレンデッドにせよ一般的に熟成年数の多いウイスキーほどストレートの方が美味しく飲めるのですが、熟成が足りずに不味い酒はロックや水割りにしないと飲めないようなところがあります。
その要因は「アルコール臭さ」にあると思います。刺激臭、刺すような味、そしてピートやスモーキーとは違う薬臭い苦味というようなものが残っているものです。
これが樽で長年熟成されると、不思議に和らぎまろやかで甘くなっていきます。舌に乗せ、それが喉に滑らかに落ちていく時の芳香、味、余韻が全て好ましく思えるようになるのです。
ところが「余市」や「宮城峡」はノンエイジから既に「アルコール臭さ」の嫌味はなく、独特の個性と強さを演出しています。そして10年、12年と熟成を重ねるに連れて、まろ味と長い長い心地良い余韻、後味が加わっていきます。
これこそが真面目な酒造り、美味いウイスキーの特徴です。
山崎が万人のためのウイスキーの完成形だとすれば、余市はウイスキー好きのための「ウヰスキー」、その完成形の一つと言えると思います。
ウイスキーの味に慣れてきたら、ぜひ試してみてください。
2015年1月22日木曜日
Samuel Gawith Best Brown Flake
サミュエルガーウィズ・ベスト・ブラウン・フレーク
使用葉:ヴァージニア、無着香
原産国:イギリス
価格:1900円/50g(2015)
葉様はやや暗い赤みを帯びたブロークンフレーク、フレークだが柔らかく持ち上げればもろもろとほぐれる。香りはヴァージニアのほの甘く柔らかい香りのみ。
火付き、火持ちはサミュエルガーウィスのフレークの中では例外的に良い。ほとんど気遣いは要らない。
序盤、最初の一喫目から、ライト&スムーズだということが分かる。それでいてヴァージニアの優しい甘みとサミュエルガーウィスらしい芳しいアロマが立ち上る。
中盤、マスカットの爽やかさといちじくの甘さ。葉が柔らかいため、ゆる詰めだと燃焼による葉の盛り上がりが大きく、火持ちを良くするためにはこまめなタンピングが必要だが、一度冷やして再点火した葉もまた違ったアロマと喫味を出して美味いので、火持ちはあまり気にしないほうがいい。
終盤に近づいてややアロマに青臭さが増し喫味もシガレットのようなエグみが顔を覗かせてくるが、ライトさは変わらない。エグみに交じって甘さはしっかりと下支えしてくれている。上品で節度ある甘さだ。いつまでもこれを味わっていたいと思わせてくれる。この底力がサミュエル・ガーウィスらしい。
ところでこういうシガレットライクなエグみを持つ葉を「ヘイタイプ」と呼ぶのだそうだが、このヘイタイプという言葉は何かを誤解させる感じがしていつも耳目にしっくり来ない。
「ヘイ(干し草)」の芳香にも乾燥や発酵度合いでいろいろあって一様ではないし、そもそも現代の日本の都会で暮らしている我々が干し草を引き合いにtobaccoを語る事自体リアリティに欠ける気がする。
例えば同じヘイタイプとされる、先に触れたマクバレンのヴァージニアフレークとはその喫味もアロマも似ても似つかない。
エグみやルームノートの第一印象は確かにシガレットに近いかなと思わせるが、味わえば味わうほど遠くなる。干し草やシガレットと比べるよりも、ベストブラウンフレークは同社の他のヴァージニアと比較したほうがよりその輪郭がはっきりする。
サミュエルガーウィスには、フルヴァージニア、ゴールデングロウ、そしてこのベストブラウンと3つのヴァージニアフレークがあって、それぞれ喫味、アロマとも個性が分かれる。
喫味が一番ストロングなのはフルヴァージニア、中間がゴールデングロウ
そしてもっともライトなのがベストブラウン。
フルヴァージニアは喫味はストロングでハマると深い味わいを持つ。アロマが若干わかりにくくそっけない部分もある。アロマがもっとも強いのはゴールデングロウ。青臭さを持ちながら時間と共に劇的な変化を起こす。
ベストブラウンフレークのアロマは、果実のような瞬間もあり、またシガレットの様な瞬間もあり、また若干の透明感を感じる。
舌荒れの危険性はヴァージニアの宿命でややあり。
ニコチン酔いの心配は要らない。
合う飲み物はウイスキー、コーヒー、水など。
時間帯はオールタイム。
- 生葉芳香 弱←○○★○○○○○○→強
- 甘 み 弱←○○○○○○★○○→甘
- 味の濃淡 淡←○○★○○○○○○→濃
- 熟成感 若←○★○○○○○○○→熟
- アロマ 淡←○○○○★○○○○→濃
- 満喫感 弱←○○★○○○○○○→強
- 舌アレ度 弱←○○○○○★○○○→強
- 火持ち度 悪←○○○○★○○○○→良
- 常喫可能 無←○○○○○○★○○→有
- 個 性 弱←○○○○★○○○○→強
2015年1月20日火曜日
初めに何を飲んだらいいか 〜ニッカ「宮城峡」(ノンエイジ)〜
「ウイスキーを飲んでみたいけれど何を飲んだらいいか分からないのですが」と何人かに言われました。
そんな方にはとりあえず、ニッカの「宮城峡」かサントリーの「山崎」をおすすめします。この二つはジャパニーズ・ウイスキーのいわゆる「シングルモルト」と呼ばれるウイスキーの代表的な銘柄の一つです。
僕はニッカ党なのでニッカ「宮城峡」を特にお薦めします。
宮城峡はウイスキーというよりはブランデーに近いフレーバーとテイストを持っており、ウイスキーの独特の風味である「煙臭さ」があまりなく、逆にフルーティさが強調された華やかな味わいです。1万円を超えるようなハイランドスコッチに負けないほどの深い味わいが、わずか1500円(ノンエイジ)で手に入ります。ニッカのモルトはこのコストパフォーマンスの良さも魅力です。
山崎は日本人の「日本食」に慣れた舌にも優しい味わいですが、宮城峡はそこまで日本人の舌に合わせている訳ではなく、スコッチのシェリーカスクに迫るコシとコクが持ち味でバニラ香も強くブランデーやチョコレートのような味わいを持っています。
ちなみに「シングルモルト」とは一箇所の蒸留所で蒸留〜熟成されたモルトウイスキー(大麦だけで作られたウイスキー)のことを言います。
宮城峡は宮城県仙台市にあるニッカの宮城峡蒸留所で作られたモルトのみを使用しています。サントリー山崎は大阪府山崎蒸留所のモルトです。
何箇所かの蒸留所のモルトをブレンド(バッティング)して作られたウイスキーは「ピュアモルト」と言います。ニッカの場合、余市と宮城峡をバッティングして作られた「竹鶴」がそれに当たります。
なぜこんなことをするのかというと、ウイスキーは蒸留所によってまったくできるお酒の味や個性が違うからなのです。
個性の違う蒸溜所のお酒をブレンドしてさらに美味いウイスキーが出来上がります。
ニッカ「竹鶴」は「余市」のスモーキーフレーバーやパンチと、「宮城峡」のフルーティさを兼ね備えた素晴らしいウイスキーです。
シングルモルトやピュアモルトではないウイスキーは「ブレンデッド」と呼ばれます。これはモルトウイスキーの他に、グレーンウイスキーと呼ばれる、とうもろこしなど雑穀で作られたウイスキーをブレンドします。
スコッチなら「オールドパー」や「ジョニーウォーカー」ジャパニーズなら「スーパーニッカ」や「サントリーオールド」がそれに当たります。
モルトは味が強く濃いウイスキーになりますが、その分クセも強くなります。
ブレンデッドはスッキリとした味わいと、馴染みやすい「薄さ」が持ち味になります。
元々グレーンウィスキーはモルトウイスキーよりも効率良く安く作られる「混ぜ物」として存在していましたが、現代ではどちらが優れているとか高級とかそういう事ではなく、嗜好性の違いで分けられています。中にはグレーン100%のウイスキーもあります。
しかしやはりウイスキーの本来の美味しさや個性をわかりやすく味わいたいのなら、やっぱりモルトが適しています。
モルトは例えば焼酎以上に、銘柄による個性があります。焼酎なら芋と麦の個性ははっきりしていますが、モルトウイスキーの場合、同じ大麦を使っていながらその違いは芋麦どころか日本酒とワインほど違うことも少なくありません。
宮城峡はそのモルトの個性、違いが特にはっきり分かるお酒だと思います。
ところでワインがそうであるように、ウイスキーもヨーロッパの料理の味覚にある程度慣れてないと美味いと感じられない人もいるかもしれません。
本場のフレンチやイタリアンを誰でも気軽に食べられるようになったのが1980〜90年代、その頃にやっと日本にもカベルネ・ソーヴィニオンなどフルボディの赤ワインやヴィンテージが定着しました。それまでは日本料理に合わせた若い白ワインやロゼが好まれていました。
ウイスキーは料理と合わせるお酒ではないのでワインよりは神経は使わずに済みますが、それでもやはり単独で味わうには嗜好性の敷居はやや高いかもしれません。
それで長いこと水割りやハイボールという、ウイスキーの味をより薄めた飲み方が定着しました。
しかしウイスキーの味を一度知ってしまうと、水割りやハイボールではどうしても物足りなくなっていきます。
宮城峡もそんなお酒の一つで、もしも宮城峡をじっくり知るなら、トゥワイスアップ(ウイスキーと常温水1:1)がおすすめです。慣れてきたら徐々に水の量を減らして味わって見て下さい。バニラの香りやフルーツのような華やかな味がよりはっきりと分かるようになるでしょう。マリアージュにはぜひチョコレートを。
もっともワインと違い、それほどスノッブになる必要はありません。ウイスキーは自由です。
水割りやハイボールが美味しいと思ったら、そうして飲んでも間違いではありません。
宮城峡は、これまでウイスキーをニガテにしていた人にとっても、きっと新しい世界を広げてくれることでしょう。
宮城峡
種別:シングルモルト
原産国:日本
容量:500ml
度数:43%
熟成:ノンエイジ(3〜5年?)
樽:ウイスキー、シェリー
2015年1月15日木曜日
MacBaren Virginia Flake
使用葉:バージニア
原産国:デンマーク
価格:1800円/50g(2015)
年末、ストックが底をつきかけていた事を気にかけながらなかなか時間が取れずにいたが、やっと合間を縫って行きつけのタバコ屋さんへ。とりあえず小さめの缶/フレーク/バージニアの3条件で引っ掴んできたのがこれ。買ってからマクバレンのロゴに気づいた。
開缶すると非常に整ったフレークが並んでいる。明るい色のバージニア。ブラウンとオレンジのブレンド。乾燥気味。
バージニア特有の芳香…いや、もう少し蜂蜜か洋酒か何かでうっすらとケーシングしているような、ピースにとても近い香り。
とりあえず4つ折りにしてパイプにねじ込む。薄くて整っているので、標準的なサイズのパイプで一枚すっきり収まる。
火付き、火付とも非常に良い。
序盤、クセのない素直な香り。ヘイ(干し草)タイプ…というよりシガレット葉をパイプに詰め込んで喫っているような感覚に近い。
中盤、微かにあったはずの甘味が消えている。味がなく喫っているうちに自分がバージニアを喫っていた事を忘れていることに気づく。
終盤、これといったクライマックスもなく終了。
非常にシンプルである。マイルドで喫いやすい。その分味もアロマも薄い。取り立てて欠点はない。かといって特徴もない。捉えるべき個性が見当たらないのだ。全てが中庸。ヴァージニアと銘打っていながら、ヴァージニアの甘さやクリーミーさを味わうには若干のキャラ不足という面は否めない。
あるいはパイプ葉らしいクセがニガテな人やシガレット常喫の人にとってはこういう選択肢もありかもしれない。
いや、逆に考えよう。たまに喫いたくなるシガレットの紙臭さがどうしても馴染めないなら、この葉はおすすめ。
パイプやフレークが初めての人にとっても火付きの良さや扱いやすさという点でいい。ただ同社にはこれより500円以上も安い価格でVirginia No.1というポーチの葉があって、そちらもまた取り立てて個性のない葉ではあるけれどコストパフォーマンスのいい葉が控えているので、どうもこのフレークは輪郭のはっきりした決め手に欠けるようではある。
舌焼けの危険性は中程度。合う飲み物はコーヒー、紅茶、水。
- 生葉芳香 弱←○○○○★○○○○→強
- 甘 み 弱←○○○○○★○○○→甘
- 味の濃淡 淡←○○★○○○○○○→濃
- 熟成感 若←★○○○○○○○○→熟
- アロマ 淡←○★○○○○○○○→濃
- 満喫感 弱←○★○○○○○○○→強
- 舌アレ度 弱←○○○○○★○○○→強
- 火持ち度 悪←○○○○○○○★○→良
- 常喫可能 無←○○○○★○○○○→有
- 個 性 弱←○○★○○○○○○→強
2015年1月12日月曜日
SamuelGawith Kendal Cream Delux Flake
サミュエルガーウィズ・ケンダルクリーム・デラックスフレーク
使用葉:ヴァージニア、バーレー
原産国:イギリス
価格:1900円
2015年最初に開封したのがケンダルクリーム。幕開けにふさわしい素晴らしい葉。
葉様は分厚いフレーク。香りは一言で言えば「生八ツ橋」。つまりは香りづけに少なくともトンカビーンズとシナモンが使用されていることは間違いない。さらにバニラの香りもほんのりするが、バニラそのものではなくラムやウイスキーのカスク香に近い。
火付きにはやや工夫が要るが、フレークがややブロークン気味なので極力フレークのままねじ込んで味わいたい。一度安定してしまえば火持ちはそう悪くない。フレークが厚く大きいので、パイプもボウルの大きめのものを選びたい。標準的な19mmボウルなら半分ぐらいでちょうどいい。
序盤、ねっとりとした煙とほんのりと甘いヴァージニアの喫味が心地よい。アロマはトンカビーンズのフレーバーがもわっと鼻腔を包む。時折きのこのような、山菜のような不思議なアロマが顔を覗かせる。
中盤、クリーミーさが出てきてケンダル「クリーム」の名前に得心のゆく味わい。サミュエルガーウィスの葉を味わう幸福を感じる。サミュエルガーウィスの葉でバーレーがブレンドされているものはこれ以外に味わった事がないが、元々バーレーがあまり好きでない僕でも素晴らしいと感じる。木の香りと華やいだ草花に包まれたような香りが交互に来た後で葉巻のようなアロマとルームノートが顔を覗かせ心地良い。
終盤、ややキックが強くなるが、濃厚でクリーミーな喫味は変わらない。バター、ナッツ、ブランデーケーキのようなこってりとした喫味と、それにも増してふくよかで複雑なアロマに酔いしれているうちに終了。満足感がかなり深い。
この葉は、他メーカーのどんな葉にもあまり似ていない。全体的なニュアンスは同社の1792フレークが一番近いが、パンチのある1792に較べてずっと洗練されていて、かつマイルドにも関わらず、アロマはより深くたっぷりとしていて底付きがない。
明らかにパイプ上級者のためのtobaccoで、喫う度にいろんな発見をする。本当にリラックスしたい夜に、好きなお酒と一緒にゆっくりと味わいたいtobaccoだと思う。
時間帯は夜〜深夜。合う飲み物はウイスキー、ブランデーなど。ニコチン酔いの可能性はややあり。舌荒れの可能性は低い方。
- 生葉芳香 弱←○○○○○○★○○→強
- 甘 み 弱←○○○○○★○○○→甘
- 味の濃淡 淡←○○○○○○○★○→濃
- 熟成感 若←○○○○○○★○○→熟
- アロマ 淡←○○○○○○○★○→濃
- 満喫感 弱←○○○○○○★○○→強
- 舌アレ度 弱←○○★○○○○○○→強
- 火持ち度 悪←○○○○★○○○○→良
- 常喫可能 無←○○○○★○○○○→有
- 個 性 弱←○○○○○○○★○→強
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