パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。
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2014年11月5日水曜日

Peterson Irish Flake





ピーターソン・アイリッシュ・フレーク
使用葉:ヴァージニア、バーレイ種、ケンタッキー
原産国:デンマーク(OEM)
価格:1750円/50g(2014)

ピーターソンはアイルランドのパイプメーカー。パイプ葉も出していることは知っていたけれど横目で眺めていただけ。
たまたまフレーク葉を切らしていた時に、少し深めの何かを欲しいなとタバコ屋さんに入ったらこれが目についたので試してみることにした。


葉様は綺麗に揃ったシート状のフレーク。色はとても濃い褐色。深煎りにストーブされているとのこと。生葉の香りはとてもフルーティで赤ワインのような渋い甘い香りがする。加香はされていない。


当初、あまりに綺麗に揃ったシートだし湿気もそれほどでもないので、ダンヒルフレークのように喫えるかなと思って無造作に折って詰めて喫ってみたが、喫味はパンチがあっていいが火付きや火持ちがどうも微妙にうまくいかない。
カタログには「よく揉みほぐして」とあったのでそれで試してみると、火付きも火持ちも良いが今度は味がぼやける割に燃えが速く、またニコチン感が急激に来すぎてこれもなんだかしっくり来ない。

そこで奥の手、大きめに縦に裂いてキューブで喫うと、初めてこのtobaccoの良さを存分に味わうことができた。この手の葉はキューブにしてじゃらじゃらと詰めるのが本当によく合う。キューブはそれほど細かくなくていい。(自作キューブカットについてはこちらを参照
ノーマルな19cmボウルなら、シート半分ぐらいがちょうどいい。

序盤、深煎りされた葉らしい渋めの煙。甘みは思ったより少ないが癖のない喫味。アロマは熟成香が嗅覚を刺激する。発酵葉とストーブ葉のハーモニーを感じる。
中盤はニコチン感が非常に強くなる。喫味が爽やかでいながら時折こっくりと心地よいアロマに包まれるので調子に乗ってふかしていると頭がクラクラしてくる。
あまり火持ちを気にしたりせず、消えたらしばらく休んでから再開したほうがいいかもしれない。
終盤はストーブドフレークの常で熟成香が極まり名残惜しさと深い余韻を残して終了。

全体的に特筆すべき強い個性を持っている訳ではない。ただ、とても爽やかさでありながらなかなか味わい深いアロマを持ち合わせており、それは後半になればなるほど深くなる。気が付くとこのtobaccoの魅力に取り憑かれて一日こればかりという日もあった。
誰にもおもねらない。真面目に奇をてらわずに理想的なパイプ葉を作るとこうなりますよというような静かだが強い主張を感じる。
例えばヴァージニアの青臭さや若いミクスチュアのタバコ臭さが苦手で、差し引きなしのプレーンなパイプ葉を求めているなら間違いなくベストチョイスの一つになるだろう。ただし甘みは少なくキックが強く渋いtobaccoだ。

舌荒れの危険性あり。ニコチン強め。ベテラン向き。慣れれば常喫性は高い。
時間帯は空腹を避けて。合う飲み物は紅茶、ウィスキーなどの蒸留酒。

  1. 生葉芳香 弱←○○○○★○○○○→強
  2. 甘  み 弱←○○○★○○○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○★○○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○○★○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○★○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○○○★○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○★○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○★○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強






2014年9月30日火曜日

Bell's ThreeNuns



ベルズ・スリーナンズ
バージニア、ペリク(ケンタッキー)
無着香
原産国:デンマーク(オリジナルはイギリス)スカンジナビアンタバコOEM

ペリクパイプ葉のメジャー代表格のひとつがスリーナンズだ。

これまで何度か「ペリク」の味わいについて書いてきたけれど残念ながら現在、パイプ葉においては本物のペリクにはまずお目にかかれないと言ってもいいと思う。スリーナンズも本家本元のペリクは使用されていない。

ペリクの定義は、厳密には「産地」「品種」「加工法」の3つが狭義で限定された加工葉のことを指す。
産地はルイジアナ州のごく限られた地域、品種はそこでしか栽培できない種類のバーレー種、そして加工法は圧縮された長期嫌気熟成されたたばこの漬物である。この3つの条件を整えない限り、どんなに製法を正確にトレースしても同じ味は再現できないという。
ハバナシガーがハバナ以外の場所で同じ種と栽培法を守っても、どうしてもハバナに及ばないのと同じように、ペリクもまたルイジアナでなければペリクではない。

現在本家本元のペリクはアメリカン・スピリットで独占使用されており、それ以外のTobaccoでペリクと称しているものは、全てケンタッキー州で同じ製法で作られるものを指す。
そしてケンタッキーペリクは本来のペリクとは全く違うと言われる。

となればスリーナンズもまた「ペリク」であるとはなかなか宣言はできない。内外の古参スモーカーのレビュー表現を借りれば、かつてのスリーナンズとは似て非なるものであるとのことだが、僕は残念ながらイギリスで作られていた頃のオリジナルの味は知らないので、現代のデンマーク製スリーナンズでレビューを書くしかないのだが、その範囲で味わいの結論から先に言えば、スリーナンズは紛うことなきペリクのそれを持っているとは言える。

ペリクがアメスピでのみ使用されているとすれば、ペリクの喫味のベンチマークはアメスピ「ペリック」を頼るしかないのだが、そのアメスピ「ペリック」の味わいに近い。

狭義3つの条件を揃えたペリクの100%葉は、酸味、甘み、そして強烈な熟成香を伴うが、クセが強いので単体で使われることはまずあり得ない。アメスピ「ペリック」もまたバージニア主体で、オリジナルのアメスピに少量の「本家ペリク」がブレンドされているのだが、その量は全体の葉色から言ってもおそらくごく少量である。
しかし「アメスピペリック」の味わいは、喫味、アロマ、喫後感のどれをとっても他のtobaccoとは一線を画す深みを持つ。

ペリクは主にバージニアにブレンドされることで真価を発揮するが、その変化は生葉の時ではなく火を付けた瞬間から始まる。
バージニア特有の甘みに奥行きと爽やかさを、アロマに独特の熟成香を、そして喫後感はジンジャーエールやルートビアのような清々とした満足感が加わる。

しかしバージニア単体との違いは実に微妙で、他のブレンドtobaccoのようなわかりやすい熟成香とか喫味のクセとかにはないものだ。ペリクの真価はやはりペリク入りのバージニアを味わうことでしか得られないところがある。

スリーナンズもまた生葉の状態ではそれほど強い個性があるわけではない。
それはバージニアtobaccoであると言っても済んでしまうほどのもので、よく言われるような「酸味」とか「強烈な発酵臭」というような単体ペリクを表現する特徴とはかけ離れており、穏やかだ。

葉様は小さめのコインカット。未熟成のバージニアとケンタッキーペリクが5:1程度の割合で巻かれており、それが輪切りになっている。やや乾燥気味だが湿度は保たれている。
標準的なボウルの場合、このコインを5〜6枚、軽くほぐして詰める。

ほぐし方は軽く形が崩れる程度、詰め方はやや緩めに、火を付けてからタンピングして少し圧縮してやると良い。
火付き、火持ちとも申し分なく、着火と同時に若いバージニアの青臭いアロマが周囲に広がる。

もしもバージニアだけならこの青臭さとぺったりとした甘みが全般を通じて続くだけなのだが、スリーナンズは火が安定した頃からペリク特有の爽やかな甘みと酸味が加わる。
アロマは中盤付近から終盤にかけて熟成された刺激が加わり、程よい陶酔感に包まれ始める。それはまるで若いハバナシガーをやっているような感覚だ。

そろそろ終わりかなと思う頃、高原の空気を胸いっぱいに吸い込んだ時のような清涼感と名残惜しさがやってきて「おかわり」が欲しくなる。

前回のコーネル&ディール・アダジオとの違いは、アダジオが熟成香でいっぱいになるのに比べ、スリーナンズはあくまでも爽やかなキレのある甘みで終わるという点だ。穿った言い方をすれば、やや奥行きに欠ける。
かつてシガレット喫いだった頃に「美味いなあ」としみじみ感じながら喫っていた時のことを思い出すが、パイプ葉としては旨味には若干欠けるかもしれない。
この不足感はペリクの割合が少なすぎるか、ケンタッキーペリクそのものの個性が弱いというところにあるのかもしれない。ただしその分飽きもなく、常喫性も高く普段使いのタバコとしては申し分ない美点を持っていると思う。

舌荒れの心配はない。時間帯は朝〜昼。合う飲み物は水、ビール、紅茶など。

  1. 生葉芳香 弱←○○○★○○○○○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○○○★○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○○○★○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○★○○○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○★○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○★○○○○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○★○○○○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○★○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○★○○○○○○→強

2000円/50g(2014)


2014年7月17日木曜日

Sweet Dublin Irish Whiskey






内容:バージニア、キャベンディッシュ、アイリッシュ・ウィスキー
製造国:デンマーク

学生だった数十年前、初めて国産のビリアード型のパイプとこのスィートダブリンを買い求め、パイプ喫煙に入門した。パイプは3000円弱、葉は500円前後のように記憶している。

当時、スイートダブリンが初心者用のパイプたばこと言われていたかどうかは分からない。なにぶん、周りにパイプをやっている知り合いなど一人もいなかった。

しかし今改めてこうして喫ってみると、スイートダブリンはパイプ入門に最適のtobaccoだと思う。

葉様は理想的なリボンカットでムラもなく詰めやすい。湿り気も開封時がちょうど良い。欠点は過燃焼になりやすく、それ故舌焼けしやすいことぐらいか。

生葉の香りはほんのりと甘い。ケーシング(香りづけ)にアイリッシュ・ウィスキーを使用しているということだが、おそらくそれだけではなく複数の香味付けがされているはずだ。

ただ、他のいくつかのコンチネンタルな着香系のtobaccoにも言えることだが、30年前と現在とではかなり喫味や芳香は異なってきており、現在のそれは非常にマイルドで自然なものに変わっている。当時は生葉芳香もルームノートも今よりずっとドギツく、ムッと充満していた。これはあくまで推測だが、かつてはエチレングリコール系の保湿剤または甘味料の影響もあるのではないかと思う。


火付き、火持ちは非常に良い。無造作にボウルに詰めても、慣れている人ならマッチ一本で火種ができるほどだ。故にやや強めに詰めてちょうどいい。

喫味は序盤から甘みとこっくりとしたアロマが程よくまとわりつく。これがいわゆるパイプの煙だよと語りかけるような、見本のような分かりやすい喫味だ。
一方でウィスキーで香りづけしたということを忘れてしまうような茫洋としたところもある。アイリッシュ・ウィスキーというより、「ウィスキーボンボンの水割り」といった感じか。

中盤にかけてもマイルドな甘みは続くが、次第に膨らみはなくなってきてtobaccoらしい喫味になってくる。単調気味になりつつある甘みに渋みが混じってきて過燃焼と舌荒れに注意を要する。

終盤は着香バージニア系リボンカットの常で喫味のキープがやや難しくなる。もしパイプを始めて間もない場合は、辛味やエグみのある香りを感じたらその辺で喫煙終了として、残り葉は勿体無がらずに捨てた方が良い。その場合の時間の目安は30分程度だ。

もちろん上手くスロースモーキングできるようになれば、その倍は火を持たせることができるようになるが、それはもちろん舌焼けとの兼ね合いになる。

数あるパイプ葉の中では決して個性のある方ではない。しかし先述したように喫味とアロマは典型的でパイプ葉の中庸であり、初心者にとってはパイプtobaccoを手っ取り早く知るのに最適。ベテランにとっても気を使わずに手を伸ばせるサブの葉や、ミクスチャーの土台として重宝する。


時間帯は昼〜夜にかけて。
合う飲み物は、紅茶、水、ウィスキーなど。
1200円/50g(2014)

  1. 生葉芳香 弱←○○○○★○○○○→強
  2. 甘  み 少←○○○○○○★○○→多
  3. 味の濃淡 淡←○○○○★○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○★○○○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○★○○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○★○○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○○★○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○○★○→良
  9. 常  喫 無←○○○○○★○○○→有
  10. 個  性 弱←○★○○○○○○○→強

追記:ラタキア系とミクスチュアするととても味わい深い。スイートダブリンの明るさ、やや平坦な甘さとラタキアの熟成感が出会うと、深みのある甘さとこってりしたアロマが表面に出てくる。