パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。
ラベル Dunhill の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Dunhill の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2016年5月13日金曜日

Dunhill My Mixture BB1938



ダンヒル・マイミクスチュア・BB1938
使用葉:ヴァージニア、ラタキア
原産国:イギリス
価格:1750円/50g(2016)

昨年暮れあたりから日本国内でも見かけるようになったダンヒルの新製品です。が、大元は戦前から存在しやがてダンヒルのtobacco撤退で消えたBaby'sBottom というミクスチュアの復刻版です。
残念ながらBaby'sBottomを味わった経験がないのでオリジナルとこの復刻版的BB1938がどう違うのかは分かりません。



生葉の香りは鮮烈なラタキアとヴァージニアのハーモニーです。それ以上でもなくそれ以下でもない、しかし実に心地の良い爽やかなものです。

喫味は終始軽く爽やかです。
いや、それはダンヒルのド定番、マイミクスチュア965との比較でのことです。
缶のデザインが良く似ているので、否応なく比較してしまいますが、傾向は似ているようでだいぶ違う方向性を向いています。

例えば965のむせかえるような複雑なアロマはありません。ガツンと来るバイトやまとわりつくようなオリエントの絡みもありません。その代わりラタキアのスパイシーなアロマとヴァージニアの爽やかな甘味が強調され、くっきりしたコントラストと単純明快で分かりやすい素性を持っています。

火付、火持ちとも申し分なく、序盤から薄めですがヴァージニアの爽やかな甘みとラタキアの薫香を存分に味わうことができます。そして後半に行くに従ってふくよかな風味が増してゆきます。


この葉の最大の美点は、ドローアンドブローに全くと言っていいほど気を使わなくて済むというところでしょうか。
大きなボウルでも小さなボウルでも、ぞんざいな喫い方をしても用心深く喫っても、味が大きく変わることがないのです。

個人的にはこれからイングリッシュミクスチュアやラタキア入りの葉を始めてみようと思う方に最適と思うと同時に、ベテランにとっても常喫葉としても全く申し分のない実にシンプルで飽きの来ない軽いキャラクターを持った葉だと言えると思います。
MM965がややクラシカルなイングリッシュミクスチュアだとするなら、このBB1938は例えばマクレーランドのようなより現代的で軽やかさを強調した葉だと言えるでしょう。
ニコチン酔いの心配も、舌荒れの危険性も殆どありません。

もしも965と同様に手軽に街のタバコ屋さんで手に入るなら、「とりあえず」の定番として常備しておく価値はあります。

良いtobaccoです。

2015年3月2日月曜日

Dunhill Night Cap




ダンヒル・ナイト・キャップ
使用葉:ラタキア、オリエント、ペリク、ヴァージニア
原産国:デンマーク(OEM。ブランドはイギリス)
価格:1,750円/50g(2015)

昔々「パイプ覚えたての半可通はとにかくダンヒルしか認めない。他の英国葉を覚えたての半可通がそれを嗤う」というのをベテランスモーカーが言うのを聞いて、半ば自嘲気味に笑ってしまった事がありました。

さて今の僕はどっちの半可通だろう?と自問自答しつつこの歳になって初体験の(!)NightCapを開封してやはりダンヒルはいい香りだなあ、美味いなあと感心を新たにしました。

ブランクを挟んで長いこと965にお世話になっていますが「OEMになってからのダンヒルは不味い」という評には若干の抵抗感もなきにしもあらず……というのも、他のダンヒルの葉はどうか分かりませんが965を開けるたびにどうも缶かロットかによって味にばらつきがあって、美味い時となんか味気ないなあと感じる缶があるからです。
この辺のばらつきがOEMになってからのダンヒルtobaccoの評判を下げたのではないかなと思うところもあります。

それでもダンヒルのラタキアの芳香はやはり他とはずいぶん違う柔らかくて熟成が渋い、まるで高級な紅茶のような趣があるし、オリエントは鼻腔に都会の大人の香りをまとわり付かせて止まないのは確か。もしかして自社製造していた昔とはヴァージニアやキャベンディッシュの品質は変わったかもしれません。
しかしダンヒルのラタキアやオリエントの風味やブレンドは、独特の品格があります。



ナイトキャップはそんな中でも際立って素晴らしい芳香を持つ葉です。
現在国内で手に入るダンヒルの葉の中で唯一、ペリク配合のミクスチュアで、それが他のミクスチュアとの大きな違いですが、僕はこのナイトキャップの最大の特徴はオリエントとこのペリクのコンビネーションではないかと感じています。

基本はラタキアとヴァージニア、そしてオリエントの典型的なイングリッシュミクスチュアですが、ペリクの独特の熟成香と爽快感が全ての葉の個性を前に前に押出してきます。

特筆すべき点はアロマです。鼻腔に抜ける全ての香りはパイプ葉のお手本のような熟成感、それが終盤に向かってペリクによってまとめられナッツと磨き上げられた家具に触れているような深い満足感を提供してくれています。

「過不足のない」これがダンヒルの持ち味ですが、ナイトキャップは全てが濃厚に、コントラストがくっきりと際立っています。

ダンヒルラインナップ(国内)の中ではロイヤルヨットと並んでこってり感の強い葉ですが、方向性は965やロンドンミクスチュアの上級編といった感じです。
その名の通り、夜、グラスを傾けながらゆっくりと沈思に耽る時にピッタリのtobaccoだと思います。美味いtobaccoです。

舌荒れ、酔いの可能性は中程度、時間帯は夜、合うのはウイスキーなど。

  1. 生葉芳香 弱←○○○○○○★○○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○★○○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○○○○○★○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○★○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○○★○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○★○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○★○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○○★○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強

2014年8月8日金曜日

Dunhill Flake



ダンヒル・フレーク
バージニア
製造国:デンマーク(OEM)

開封すると、バージニアの葉のイラストと金封が現れる。
それを丁寧にはがして中紙をめくると、ひと目で上質と分かるフレイクが整然と並んでいる。

香りはまさにバージニア葉特有の、蜂蜜と花の香りをブレンドしたような甘い香り。
日本のピースがこれに近い香りだが、ダンヒルフレークはそれよりもう少し抑制の効いたものになっている。
もちろん着香はない。正真正銘バージニアのみの香りだ。同系のサミュエルガーウィス・フルバージニアと比べると、あまりに上品で繊細な香りだ。

葉様は明るいブラウン。サミュエルガーウィス・フルバージニアはプンパーニッケル(ドイツのライ麦100%パン。パンというよりライ麦版フレーク)に似ているが、ダンヒルフレークは見た目も香りもまるでアーモンドスライスクッキーのよう。


このtobaccoは、ほぐさず、キューブにもせず、そのまま折り曲げてパイプに詰めて味わいたい。
さほどモイストではないので缶から取り出してすぐに詰めても全く問題ない。一枚4g余、縦に折ってから半分の長さに折って、捻りながら詰める。


火つきは良好、火持ちもとても良く全く気を使わずにスロー&ロングスモークが可能だ。2時間を超えることも全く難しくない。

序盤からバージニアの上品な甘みとアロマが支配する。キツ過ぎもせず、軽過ぎもしない。
中盤はそれに爽やかさが加味されて実に軽快だ。ほのかに土の香りと、ワイルドベリーの気配。

終盤はややパンチが効いてくるが、抑制の効いた甘みと爽やかさに包まれている。しかもそれは軽々しさや心許ないものではなく、充実感に支えられている。

どこにも尖ったところや足りないところはない。上質なバージニアを味わいたいという望みを、リボンカットでもファインカットでもなく、きちんと調理されたフレーク(ケーク)で実現できるというのはこの上ない喜びであり贅沢だと思う。

ダンヒルはどのtobaccoも喫う度に「うん、これでいい」と思わせる要素をたくさん持っている。それは「可もなく不可もなく」ではなく「考えぬかれた中庸」というものを持っている。
様々なtobaccoを遍歴しても最終的にはここに落ち着くのではないかと予感させるのだ。フレークもそんなキャラクターだ。

以前、無人島にパイプ葉を一つだけ持っていくとしたら965を持っていくと書いたが、身軽な旅装を要求される旅先に持って行くならこのダンヒルフレークになるのではないだろうか。それは缶の小ささによるところも大きいかもしれない。サミュエルガーウィスの缶の約2/3ぐらいの大きさしかない。しかしそれ以上に大きな理由は、このtobaccoがtobaccoとしての基本を全て備えており「これでいい」と思わせるシンプルで単純明快なパイプ葉の長所を全て持ち合わせているところが大きい。
もう一つ言えば、優れたフレークはタンピングがほとんど要らない。これほど神経を使わずに済むフレークを他に探すのはなかなか難しい。良いtobaccoだ。


時間帯は問わない。ニコチン酔いの心配は中程度。舌焼けの可能性は少しある。
合う飲み物は水、紅茶。
1750円/50g(2014)

  1. 生葉芳香 弱←○○○○○★○○○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○○★○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○★○○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○★○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○★○○○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○★○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○○★○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○○★○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強


2014年7月27日日曜日

Dunhill London Mixture





ダンヒルロンドンミクスチュア
バージニア、ラタキア、トルコ葉
製造国:デンマーク(OEM)


缶を開けて気づく人はすぐ気づくと思う。同じダンヒルのロイヤルヨットと同じフルーツヨーグルトのような香り、そして同時にマイミクスチュア965の香り。ただしどちらもマイルド。

現在日本国内のどこでも手に入るダンヒルのうち、ミクスチュアは4種類。

  1. ロイヤルヨット
  2. マイミクスチュア965
  3. アーリーモーニング
  4. ロンドンミクスチュア


上の1〜3を正三角形に並べて、その三角形の真ん中に4のロンドンミクスチュアが位置する。いわゆる現代における「Dunhill tobacco」の中で最もノーマルなtobaccoだと言っていい。常喫葉の最有力候補。

現在、ダンヒルに煙草製造部門は存在しない。その代わりドイツのスカンジナビアンタバコの傘下企業で、ダンヒルのレシピとライセンスでOEM製造されている。

なので、どれだけオリジナルを留めているかは不明だが、淡い記憶を辿ればロイヤルヨットとこのロンドンミクスチュアに関しては、少なくとも30年前とそう変わらぬ芳香と風味を持っていると言えるのではないか。
パイプを始めた時に初めて買ったイギリス葉がロイヤルヨットで、数年後パイプをやめる時最後に空にしたのがこのLondonMixtureだった。今久しぶりに喫ってみて当時と明らかに違うのは、缶のデザインが醜悪になってしまったことと、スロースモーキングが一段とラクになったことぐらいか。もっともスロースモーキングは自分の技術が上がっただけかもしれないが。




葉様はリボンカット。ラタキアとおそらくストーブドバージニアがメインで、オリエントが少々入った褐色。

火付き、着火はとても良い。この辺はなんとなく他の3種とちょっと印象が違う。

この辺は微妙な推測しかできないが、OEMのラインで製造する以上、ミクスチュアに使う葉は4種それぞれでそんなに違いは出ないだろう。つまり使っている葉は同じでミクスチュアだけ違うはずだ。なのに火付きが大きく異なるというのはキャベンディッシュが少ないのか何なのか。30年前の火持ちはもう少し悪かったような気もするし、もしも製造時の葉の含水率を意図的に変えているとすればそれはそれで驚きだけど。OEMになってからバージニアのケーシングやキャベンディッシュの際にイギリス式のケーク工程を省いているという指摘もあるので、その辺ももしかしたら関係あるのかもしれない。後で正確なことがわかれば訂正したいが、一応メモ書きとして記しておきたい。

喫味は
序盤、素直な甘さとマイルドなアロマ。軽いナッツ感のスムーズでまろやかな喫味。
中盤、やや渋みを増すがマイルド&スムーズ、心地良い甘さとラタキアのアロマ。
終盤、ラタキアが次第に強くなるが軽やかさ、まろやかさは失わない。


全体を通して軽やかで爽やかな甘みが終始しておりスッキリとキレが良い。でも軽々しさはない。ラタキアのアロマがしっかりとベースを支えていて深みを感じる。

安定しているので喫味が変わることなく非常に喫いやすい。とにかくまろやかでバランスのとれた良いtobaccoだと思う。尖ったところもなく、変な癖もない。飽きが来ないので常喫性も高いと思う。
欠点を敢えて挙げれば、舌荒れがやや起きやすい事ぐらいか。
イギリス葉の中では間違いなく喫いやすさNo.1だと思う。

ただ、時々物足りなくなることもある。
というのはダンヒルを選ぶ時、キレのあるスッキリした喫味が欲しいならアーリーモーニング、こっくりどっしりした味が欲しいならロイヤルヨット、まったり常喫できるラタキアが欲しいなら965がある。
それらのどれでもあるし、どれにもひとつ足りないのがロンドンミクスチュアなのだ。

長年のパイプスモーカーでダンヒル好きなら、味の調整が欲しかったら迷わず3つの缶を買い求め、場面に応じてマイミクスチュアを作ってしまうだろう。それで済んでしまう。
ちなみに自分なら965やロイヤルヨットにそれぞれ軽めのフレイクを足すか、もう少しどっしり感が欲しかったらバニラやラタキア、ブラックなどを他から持ってくる。アーリーモーニングだけはそのまま。

TPOや時間帯?そういうことが面倒な人のためのtobaccoといえばそうかもしれない。
印象としてはロイヤルヨットがちょっと火持ちに気を使うところがあったり、TPOによって重かったりすることもあるので、そのライト版として重宝する。

要するに現代の趣味のtobaccoの尺度で見ればロンドン〜はパンチや個性は不足している。でもそれは決して欠点ではなくいわゆる第一次世界大戦後の最もパイプの全盛期、誰しもがパイプを咥え、タバコ屋でサッと買ってサッと詰める忙しい時代のレディメイドベストセラーとしてのtobaccoと位置づけていいと思う。
シガレットで言えばセブンスター。そういう性格のtobacco。

だからイギリス葉が初めての人に「最初に何を喫ったらいい?」と聞かれたらとりあえずこれは勧めるだろう。例えば同じ系統の常喫系のイギリス葉なら少なくともサミュエルガーウィスのパーフェクションとこのロンドンミクスチュアは有力候補。実際よく似ているが、喫味のとっつきやすさ、とりあえず常喫もできて一缶無駄にせずに済みそうなマイルドさに関してはロンドンミクスチュアの方が多くのものを持ち合わせている。そしてなんたって名前がDunhillでLomdonだもの、間違いない。

時間帯は朝から夜にかけて。
合う飲み物は、コーヒー、紅茶、水、ビールなど。
1750円/50g(2014)


  1. 生葉芳香 弱←○○○○★○○○○→強
  2. 甘  み 少←○○○○○★○○○→多
  3. 味の濃淡 淡←○○○○★○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○★○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○★○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○★○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○○★○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○○★○→良
  9. 常  喫 無←○○○○○○○○★→有
  10. 個  性 弱←○○○★○○○○○→強



2014年6月24日火曜日

Dunhill Royal Yacht Mixture





ダンヒル・ロイヤルヨット・ミクスチュア
バージニア、プラム
製造国:デンマーク(OEM)


ロイヤルヨットは、20歳の時、初めてパイプとこれとHalf&HalfとSweetDublinを購入、盛大な舌焼けを起こしてパイプ生活にのっけから暗雲が垂れめた思い出の葉だ。
久しぶりの再会。


とは言え当時のロイヤルヨットと今のロイヤルヨットとではだいぶ違う味がするような気がする。OEM供給元が変わっているせいもあるとは思うが、自分の技術の変化もあると思う。今はクール&ドライスモーキングも多少上達しているはずなので、当時よりも少しはマシな感想が書けるかもしれない。

それを差し引いても他のレビューとはかなり違う自分の感想に一抹の不安が残りつつ…。

まず最初に書いておかなければならないのは、多くの評判にあるところの「ミルキー」「スイート」「マイルド」「紅茶」という評価はここでは残念ながら出てこないという点。
この葉は、ストロングだ。
甘みはもちろんある。マイルドさも持つ。
けれど僕のロイヤルヨットの全体的印象は今も昔も「渋く」「太く」「こってり濃く」「固い」。

パッケージには「Exceedingly Mild with a Grand Rich Fravor」とあるが「Exceedingly Mild」のところはちょっと違う。StrongでなくてもせめてMediumぐらいはある。自己流の表現をすればExceedingly Robust」。
甘さを引き出すためにはパイプスモーキングの基本のスロー&クールが要求される


缶を開けた瞬間、圧縮熟成葉と甘酸っぱいフルーツの香りがする。しかし同時にクリーミー。この辺はダンヒルの他のラタキアミクスチャーとは一線を画す。

海外のレビューでは「Plum Fravored」という説明が散見する。元々ダンヒル内製だった頃は当然ノンフレーバーだったはずだから(現在はデンマークの会社のOEMになっている)、レシピが変わってなければプラムなど入っているはずもないのだけれど、実感は明らかにプラムだ。
香料制限の法律もイギリスで消えて久しいし、ましてEU製になってからレシピもいくばくかの変遷はしているのだろう。

プラムフレーバーと言ってもかなり控えめで、葉そのものの香りを支配するほどではない。狙いはプラムそのものの香りではない気がする。圧縮葉の熟成香の酸味とクリーミーがあいまったフルーツヨーグルトの様な香り。
このフレーバーはルームノートに特に反映されていて、パンチの効いた濃い甘さを演出している。
葉様は褐色のリボンカット、965やアーリーモーニングと違いラタキアは一切入っていない。

喫味は吸い方でかなり変わる。
火種も煙も最小限にしてスロー&クールに徹した場合は「スイート」「ミルキー」という表現が合うが、実はあまりスロー&クールに徹してしまうと単調でしつこい甘みだけが続きこのtobaccoの良さは出てこないように思う。

いつよりやや煙を多めに心がけると生葉からは想像できないほどにパンチが効いてガツンと来る。
甘みと酸味、渋みと辛味が遠慮なく一気に広がる。
過燃焼では決してない。
アロマは芯は若く青々として強いが、甘くフルーティな熟成香が伴い、複雑でノスタルジック。これがこの葉の素性。

序盤から甘みと渋みのハーモニー。中盤から終盤、次第に甘みも渋みもどんどん膨らみを増す。アロマもこってりと強く濃くなってゆく。

煙多めでボウルは冷やして…一見矛盾するようだが、この感じがうまくいった時に濃くてキャラメルのような、あるいはフレンチローストの濃いカフェオレのようなアロマが周囲をまとわりつき始める。

過燃焼と紙一重のところ。ストライクゾーンが狭いというかラインが少ないというか、とにかく神経を使う。まるで板子一枚小船が揺らいでいるような感覚だ。でもスピード感はある。絶えず風と波を見ながらうまく操縦すれば海面を疾走することができる、確かに「ヨット」(もちろん命名の由来とは全く関係ないだろうけど)。

Tobaccoとしてのスペックも終盤でMAXを迎える。
人によっては「ニコチン酔い」を起こすかもしれない。
舌荒れの危険性は大きい。
そしてダンヒル特有の雑味。
喫後は霜降りのステーキを食べた後にこっくりとしたカフェオレを飲んだ時のような濃い余韻と充足感が口や鼻孔を支配する。このアロマの残像こそがこの葉の最高の個性。

ボウルは大きめのものがいい。できれば21mm以上。
火持ちは良い方ではない。味が尖りだしてきたら最後まで吸わずに、葉巻を連想しながら適当なところで残り葉を捨てて終了した方が旨味が残る。

ダンヒルは贅沢に燻らすのが似合う。

時間帯は午後または夜の食後。
合う飲み物はウィスキー、ブランデー、ラム、コーヒー。
1750円/50g(2014)

  1. 生葉芳香 弱←○○○○○★○○○→強
  2. 甘  み 少←○○○○★○○○○→多
  3. 味の濃淡 淡←○○○○○○★○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○★○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○★○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○○★○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○○★○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○★○○○○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○★○○○→高
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強

2014年6月22日日曜日

Dunhill Early Morning Pipe



ダンヒル・アーリーモーニング・パイプ
バージニア、ラタキア、トルコ葉
製造国:デンマーク(OEM)


葉様はややしっとりしたリボンカット。ツンとした燻製香が鼻に
飛び込んでくるが、同じダンヒルのMyMixture965に比べると格段に優しい。
965との表記上の違いは、キャベンディッシュか単なるバージニアかという違いだが
あまり細かい事は分からない。
喫味は序盤からバージニアそのもののやさしい甘みを味わえる。
ラタキアは引っ込んでいる。
アロマは軽くやや刺激的。

中盤以降は刺激的なアロマが増してくるが、喫味自体は最後まで甘く軽い。ミルキーな感じはない。炭酸飲料のようなキレ。
煙は少なめ、火持ちは良くも悪くもない。

925やロイヤルヨットのような渋みとこってりが絡み合ったアロマを朝から味わうにはやや抵抗がある人向けだ。
でも別に朝限定の葉ということでなく、現代特に日本の標準的な食生活とリズムの中で嗜好の違いによって選択できることはすぐに分かる。

そもそも朝からパイプをくゆらす余裕がある人は現代の世界にそれほど多く存在するとも思えない。一日の締めくくりにパイプにアーリーモーニングを詰めても別にいいと思う。ただ、喫味があっさりしている分、あまり味の濃い料理の後や疲れている時は物足りないかもしれない。ゆっくりスロースモーキングに徹するといい。


話はずれるがついでに書くと
パイプ喫煙の所要時間は普通のパイプで一回につきだいたい60分ほどかかる。
マッチは最低でも2本は使用する。

パイプは口元から離して放っておけば火は自然に消える。
詰め方や葉の湿度に問題があると、一所懸命に吸っても火は消える。

ながら吸いの場合にはタンピングの回数も減るから、それだけ火持ちも落ちる。
火持ちを気にしてスパスパやれば舌焼けを起こすしボウルが熱くなってしまうから、冷ますためにやはり火を一旦落とさなければならない。

そうして時間を置いてからまた火をつけてもパイプは美味しく吸うことができる。
だから厳密に言えば、時間的余裕がそれほどなくてもパイプはちゃんと楽しめる。
ただ、そうなってくるとマッチの本数は格段に増える。
もちろん火持ちが良くなくても、マッチの本数が増えても別段気にすることはない。

火持ちは吸い方の習熟よりも、葉の詰め方やどれだけパイプに集中できるかと関係が深い。

一方でロングスモークがtobaccoの味を最大限に引き出してくれるのも事実だ。
そして何よりもロングスモーク自体が楽しいレクリエーションだ。
何度もマッチをすらなくて済むし。

僕が目安としているのは、標準的な19mm径ボウルで約45分。うまくいけば60分を超えるが、45分も保って途中で消えたら残り葉があっても捨てて終了することにしている。
最後の最後まで吸うことを旨としているパイプスモーカーは多いけれど僕はやらない。

最後まで葉を燃やそうとしてボウルの底のほうで火を起こせば確実にボウルを過熱させてしまうし、何しろ苦労の割には味が良くない。それまでの喫味が台無しになってしまうこともある。

葉巻やシガレットなら決して最後まで吸ってはいけないというのは常識だが、パイプと言えども、やはり葉そのものがフィルターとして機能している分を差し引いて考える事は重要なことだと考えている。ほんのひとつまみ分だけど。

ダンヒルを始めとするイギリスブレンドは湿り気が多くて一般にロングスモークは難しいけれど、コツを掴んでしまえば実は舌焼けの危険性が少なく、長時間の喫煙では有利な点が多い。

ずっと咥えていても飽きも少なく、余計な香料や味付けがそれほどされていない分、葉の燃えが素直でタンピングがうまくいく。味も複雑で毎回新たな発見ができる。


アーリーモーニングはそんな葉のひとつ。火持ちも比較的良く甘くあっさりしている分、気軽にロングスモークにチャレンジして喫味の変化を楽しむことができる楽しいtobaccoだと思う。煙は極力少なめに、とにかくスロースモーキングに徹すると爽やかで味を引き出せる。
現行ダンヒルの中では比較的最後の最後まで吸っても味がそれほど落ちない。ただしスペックは高いので慣れてない人は終盤ニコチン酔いに注意。

午前中〜昼下がりに良い。空腹か、軽食の後。
夕食後〜就寝前にはやや喫味が軽く物足りないかも。
合う飲み物は、コーヒー、水、ミルク、紅茶、日本茶。
1750円/50g(2014)

  1. 生葉芳香 弱←○○○★○○○○○→強
  2. 甘  み 弱←○★○○○○○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○★○○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○★○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○★○○○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○★○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○★○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○★○○○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○★○○○○○○→強

2014年6月18日水曜日

Dunhill MyMixture 965




ダンヒル・マイミクスチュア965
キャベンディッシュ、ラタキア、トルコ葉。
製造国:デンマーク(OEM)

名作にしてスタンダードなイギリスタバコの代表。
日本でもおそらくパイプ喫煙者支持率ナンバー1だと思う。
ここで改めて何かレビューをする必要もないほど。

ラタキアという独特の香りを持つ加工葉を程よくブレンド。
ラタキアはシリアのラタキア発祥の加工葉で(アレッポといいシリアはいいものが沢山あります。早く平和に戻ってくれー!)分かりやすく言うならタバコの燻製。独特の香りと風味が、パイプの味わいを深くしてくれる。
しかし国内のネットを見ていると、ラタキアや、ラタキア入りのこの965を初心者向きのタバコとして紹介しているレビューに出会う事がある。
本当にそうだろうか。

確かに例えば初心者にパイプ喫煙の素晴らしさをテットリ早く知ってもらうには、マイミクスチャー965はうってつけだと思う。
でも、これを始めとするイギリスタバコはやはり上手に吸うのは難しい。
旨さの片鱗はすぐに分かっても、プレミアムシガーと比肩すると云われる独特のアロマを醸すには相応の年季とコツやタイミングが要る。なんといっても火持ちがよろしくない。

マイミクスチャー965をプレミアムシガーになぞらえる評にはネット上で賛否両論出ているが、僕の場合はシガーと965が同じとか違うとかいうのではなく、比肩するほどのタバコ本来の深く複雑なアロマを965は確かに持っているという評を表明しておきたい。

ただしそれを引き出すのは簡単ではない。比肩というのは例えばダヴィドフがハバナに比肩しながらハバナではないのと同じ。ダヴィドフがハバナでなくなってから長い年月を経て、世界中の優れたタバコをブレンドしてハバナを超えるほどの高貴なアロマをたくわえてはいるけれど、加湿を間違えばやはり酷いもんだしダヴィドフを美味く吸うにはシガーの事をよく知る必要がある。そしてダヴィドフのアロマとハバナのアロマはやはり決定的に違う。


965は最終的に上がりのパイプ葉になるような気がなんとなくしている。
長い中断を含めて30年間、Tobaccoと付き合ってきても、例えば無人島にTobaccoをどれか一つ持って行くならどれ?と聞かれたらやはり迷わずこれを選ぶだろう。

他に旨いtobaccoはいくらでもある。同じダンヒルで選んでも、例えばRoyalYachtと較べて決してアロマが強いタバコではない。でもロイヤルヨットを一日中は喫えない。
強すぎず弱すぎず、要するにちょうどいい。パイプtobaccoを扱っているお店なら全世界どこでも手に入る。いろんな銘柄のいろんな味を知り、結局ここに戻ってくるみたいなそんなちょうど良さ。

長く付き合うのだから、濃すぎて飽きてもいけない、あっさりすぎて物足りなくてもいけない、浅くも吸えるが、深くも吸える。そういうもの。それはラタキアと無着香キャベンディッシュとオリエントのブレンドでなければ手に入らないと思う。

生葉はラタキア本来の燻製香と熟成香でむせかえるようだ。葉様はしっとり。
OEMになってから着香されているとの評もあるが、一見して例えばロイヤルヨットのような明らかな着香の痕跡は見られない。

火を付けた瞬間に癒しと沈思の淵に持って行かれる。序盤は甘みは少ない。お香やアロマテラピーにも似ている。火持ちはイギリスタバコの常で決して良い方ではない。ボウルは大きめのものを選びたい。

中盤から味は甘みが多くなり、アロマは徐々に少なくなっていく。ここで丁寧に吸えば甘みと雑味が程よくキープされる。急いで吸えば野性味を味わえる。

時間帯は夕刻から就寝前。
合う飲み物は、ウィスキー、コーヒー、日本茶、中国茶、水。
1750円/50g(2014年)


  1. 生葉芳香 弱←○○○○○○★○○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○★○○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○○○○★○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○★○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○★○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○★○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○★○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○★○○○○○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強