パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2015年8月23日日曜日

Butera's RoyalVintage Latakia No.1



ビュテラ・ロイヤルヴィンテージ・ラタキア・ナンバー1
使用葉:ラタキア、オリエント、バージニア
原産国:アメリカ
価格:2500円/50g(2015)

ラタキアを存分に味わいたい人のためのtobacco。
逆に言えばラタキアに慣れていない人には決しておすすめできない銘柄です。

とは言うもののの、じゃあラタキア感Maxでスゴイ世界なのかと言えば、そうでもないのです。
ラタキアの中では軽い(標準的な)キプロス系で、それが配合率がかなり高くなっているだけなので、お好きな方ならお察しの通り、味わい的にそれほど深いコクや芳香を放つ訳ではありません。
というか、トーベンダンスクの100%ラタキアでも紹介しましたが、ラタキアはそれ単体では風味はさほどありません。強い薫香が、他の主体となるバージニアやオリエントと重なることで全体の風味を飛躍的に深く強くする役目を持つのがラタキアであって、決して単体では奥行きのある葉であるとは言い難いところがあります。

ラタキアNo.1も、バージニアが配合されているとはいえ、さほどの甘みを期待できる訳でもなく、またオリエントとラタキア主体ですからニコチン感もそれほど強い訳ではありません。
ただ、ラタキア主体ブレンドのお手本のような葉ですから、どうしてもラタキア感を感じたくているなら、一度は喫ってみるのも良いかと思います。


バージニアとオリエントのラタキアに対する配合率はノーマルとは逆転しており、ラタキアが60%を超えるのではないかというほど葉様は黒く沈んでいます。

故に喫味もほぼラタキア主体です。時々ほんのりとした甘みを感じることもありますが、上澄みにほんのりといった感じで、終始淡々としたラタキアの渋みと爽やかなアロマが続きます。

煙量は大目に、大きめのパイプで豊かに燻らすのに向いています。
あるいは甘めのカクテルと共に、バーやリビングのルームノートにラタキアを漂わせたいという場合に向いているかもしれません。

ニコチン感は軽め、舌荒れの心配はあまりありませんが、満喫感の薄さから深くドローしたりするといがらっぽくなるので注意。



MacClelland FrogMorton on the Town

マクレーランド・フロッグ・モートン・オン・ザ・タウン
使用葉:ラタキア、オリエント(バスマ)、ヴァージニア
原産国:アメリカ
価格:2500円/50g(2015)

甘く爽やかな喫味が特徴の葉です。もちろん着香着味はしていないイングリッシュ系ミクスチュア。
パッケージには「Basma(バスマ)」という聞きなれない単語が。
カタログによればオリエントとラタキアのギリシャのバスマ村産のオリエント種の種で育てた葉を使用しているとのこと。バスマ村はアルバニアとの国境に近いとありますがgoogleMapではどうも見つけられません。まあそのうち調べましょう。
最近はオリエントのクラシカルでねっとりと絡みつくようなアロマと喫味に嵌り気味で、この「オン・ザ・タウン」にもそのしつこさを大いに期待して購入しました。

結果は良い意味で裏切られました。火を灯して最初に飛び込んでくるのはヴァージニアとラタキアの爽やかな甘みのハーモニーです。オリエントらしさが出てくるのは中盤になってから。突如アロマがそれと分かるものに変化してきます。しかしあのむせかえるような、いやらしいほどにセクシーなそれではなく、あくまでも爽やかでふわっとした節度のあるオリエンタルアロマでした。
いくらふかしてもお腹いっぱいになることのない、都会的でスッキリとしたエッセンシャルなオリエント。それでいてオリエントが弱い訳でもない。
「オン・ザ・タウン」と銘打った意味が本当によく分かります。

それにしてもフロッグモートンのラタキアは軽い。フロッグモートンオリジナルよりもさらに軽いです。

時間帯はデイタイム。合う飲み物は水、コーヒー、紅茶など。
舌焼けの心配は少しだけあり。ニコチン酔いの心配はなし。







2015年8月22日土曜日

Cornell & Diehl Habana Daydream




コーネル・アンド・ディール・ハバナ・デイ・ドリーム
原産国:アメリカ合衆国
使用葉:バージニア、ペリク、キャベンディッシュ、ラタキア、シガーリーフ
価格:2500円/57g(2015)

素晴らしいミクスチュアです。
夏のパイプでこれほどの選択肢はなかなか他にないのではないかというほどです。

ウイスキーもそうですが、日本の夏ではパイプもまたやや暑さで味が変わり、嗜好がかなり変わります。ウイスキーならロックやハイボールが美味い季節、tobaccoならシガーが美味い季節でもあります。

パイプ葉も消費の多い銘柄が変わってきます。
コクのある葉よりあっさりとしたキレの良い葉、ダンヒルならモーニングミクスチュアやロンドンミクスチュア、サミュエルガーウィズならパーフェクションなど。
そしてコーネルアンドディールのハバナデイドリーム。

カタログやレビューの幾つかでは「葉巻感!」という表現が目立ちます。
ネーミングからついつい連想してしまう味やイメージは確かにあるでしょう。
しかし実際には葉巻葉の使用はほんの僅かだし、日頃シガーを喫う人ならば、これを葉巻感と称するのにかなり無理があると思います。
故に「葉巻葉で作られたパイプ葉」を期待して購入するならやめておいたほうが無難です。

この葉の芯はブラックキャベンディッシュとペリクのハーモニーです。
特にペリクは生葉の芳香とアロマの第一印象を決定しています。そして喫味のベースをキャベンディッシュが支え、そこにラタキアの薫香が喫味に深さと豊かさを演出します。

ではシガーリーフはどこでどんな役割を果たしているかというと、気をつければ分かりますが意識しなければ背景に溶け込んでしまうほどの、色彩といった感じです。
もちろんそれがこの葉のキャラクターを決定づけているのは確かです。それは喫味ではなく中盤〜終盤のアロマに如実にあらわれています。
熟成香が、それまでのペリクとは違う、キャベンディッシュの甘さと渾然一体となった柔らかく女性的な陶酔を与えてくれます。
終盤ややいがらっぽくなる傾向がありますが、ニコチン感も強くないので、時間帯を選ばずいつも燻らせたくなる魅力にあふれています。これでモヒートやダイキリなどラム系のカクテルをいただくのも悪くないでしょう。
欠点は価格。2500円に常喫性を納得できるか否か、それだけです。

  1. 生葉芳香 弱←○○○○○○○★○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○○○★○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○○○○★○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○○★○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○○★○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○★○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○★○○○○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○★○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○○★○○→強