パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2016年2月17日水曜日

Mc Clelland Rose of Latakia



マクレーランド・ローズ・オブ・ラタキア
使用葉:ラタキア、オリエント、ヴァージニア
原産国:アメリカ
価格:¥2,500/50g





缶に書かれた説明によると「ラタキアの薔薇」とは、シリア産のラタキアの中でもっとも上質なものに名づけられた名称だということです。

さて、今日の深刻なシリア情勢においてシリア産ラタキアが果たして手に入るものなのでしょうか。
この葉にシリア産のラタキアが使われているかどうかはわかりません。

どちらにしても、ラタキアのことを考えるまでもなく、一日も早くシリアに平和と安寧が訪れますよう、心から祈るばかりです。

産地はともかくローズオブラタキアにラタキアが使われていることだけは確かなようです。ただし、ラタキアミクスチュアと思って喫うのは早合点のようです。




開封すると褐色の、典型的なほぐれたリボンカットが現れます。
生葉はドライフルーツ、チェリーのような香りがします。
しかし上品で軽やかです。
ラタキア臭さは全くありません。

火付き、火持ちはとても良く、序盤からほんのり甘い喫味が口の中を支配します。
ラタキアの特徴は殆ど感じられません。アロマも強くなく、淡々とした柔らかいスモーキングタイムが過ぎてゆきます。

総じて思うのは
「ラタキアの感じがない」
です。
オリエントのしつこさもない。
さらさらしている。

終盤に差し掛かっても喫味は変わらず、軽い印象が続きます。
明るい日差しの中、どこまでも続く道をドライブしているような感覚です。
それは変化に富んでるわけでもありませんが、決して退屈な訳でもなく、時折ゆっくりとうねるようなドライブ感と持続感が心地よいのです。
ルームノートも良い印象で、穏やかでほのかな花のような香りがすっと引いていく感じです。

この葉は「ラタキア入り」や「イングリッシュミクスチュア」として括るのはやや無理があるように思います。
むしろ「アメリカンミクスチュア」として向かい合った方が良いかもしれません。
マクレーランドのtobaccoはそういった良い意味でのアメリカ風の個性を持っており、この葉はその典型です。
軽やかさ、明るさ、甘さ、全てが優しく、そしてオーガニックな印象を受けます。

常喫葉としても申し分ありませんが、コスト的には安いとは言えないのが残念です。
イギリスやヨーロッパ風のキャベンディッシュがやや重いと感じる場合にはかなりおすすめの葉です。




2016年2月9日火曜日

Robert McConnell Old London Pebble Cut



ロバート・マコーネル・オールドロンドン・ペブルカット
使用葉:オリエント、ペリク、ヴァージニア
原産国:EU(ブランドはイギリス)
価格:4100円/100g

2014年版のカタログを見ると、ブランドはAshtonになっています。
僕が購入したのはRobert McConnell。
どちらにしてもマクレーランドが製造していると思われます。
この辺の事情は詳しくないので詳細はわかりません。
そんなわけで、いつもながらの見たまま、喫ったままの感想です。

ペブルカットというのは、長い状態のブロークンフレークのようなもので、帯状に圧縮された葉が束ねられて缶に入っています。


これをちぎって、手で揉みほぐしてパイプに詰めるわけですが、サミュエルガーウィズのフレークなんかに比べると圧倒的にほぐしやすくて火付きもとても良好です。

生葉の香りは特別個性があるわけではなく、ほのかなプンパーニッケルの香りはしますが、それほど強くはありません。

火持ちもとても良く、ほぐさずに丸めて喫っても火持ちで苦労することはまずありません。

この葉は、アロマよりも喫味、前半より後半に特徴があります。

まず出てくるのはオリエント特有の濃厚なキックです。まとわりつくようなオイリーな香りと喫味。
ややスパイシーな辛味もありますが強くはありません。
後半になるに従って甘みとこってり感が増してきます。
これはペリクが作用しているかもしれません。
ペリク自体の主張は強くなく、本当にオリエントに深みを与えている程度だと思います。

とても「旨い」tobaccoです。
そして飽きが来ない。
パイプや喫い方でいろんな味に変化する、奥の深い味です。

ただ惜しいのは、これだけ濃厚でスパイシーなのに、ラタキアの影が全くないことです。
まあ、それはブレンドのコンセプトであって、ラタキアが入ってなければダメだということでは決してないのですが、これだけ奥行きがあるとどうしてもラタキアのアロマが欲しくなってしまいます。

それで僕は手持ちのラタキア葉を少しだけ混ぜることにしました。
そうするとみるみるアロマに広がりが出てフルテイストに変化していきました。
喫味に広がるオイリーさと甘みが、ラタキアのアロマで倍増した感じです。

クライマックスは後半、常喫葉としても申し分ありません。
コストパフォーマンスもこの手の葉にしてはまあまあです。

例えばラットレーのオールドゴーリーやマーリンフレークを喫い慣れた人にとってなら、この葉は代わりとして十分に好ましい味わいを提供してくれることでしょう。