パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2014年7月27日日曜日

Dunhill London Mixture





ダンヒルロンドンミクスチュア
バージニア、ラタキア、トルコ葉
製造国:デンマーク(OEM)


缶を開けて気づく人はすぐ気づくと思う。同じダンヒルのロイヤルヨットと同じフルーツヨーグルトのような香り、そして同時にマイミクスチュア965の香り。ただしどちらもマイルド。

現在日本国内のどこでも手に入るダンヒルのうち、ミクスチュアは4種類。

  1. ロイヤルヨット
  2. マイミクスチュア965
  3. アーリーモーニング
  4. ロンドンミクスチュア


上の1〜3を正三角形に並べて、その三角形の真ん中に4のロンドンミクスチュアが位置する。いわゆる現代における「Dunhill tobacco」の中で最もノーマルなtobaccoだと言っていい。常喫葉の最有力候補。

現在、ダンヒルに煙草製造部門は存在しない。その代わりドイツのスカンジナビアンタバコの傘下企業で、ダンヒルのレシピとライセンスでOEM製造されている。

なので、どれだけオリジナルを留めているかは不明だが、淡い記憶を辿ればロイヤルヨットとこのロンドンミクスチュアに関しては、少なくとも30年前とそう変わらぬ芳香と風味を持っていると言えるのではないか。
パイプを始めた時に初めて買ったイギリス葉がロイヤルヨットで、数年後パイプをやめる時最後に空にしたのがこのLondonMixtureだった。今久しぶりに喫ってみて当時と明らかに違うのは、缶のデザインが醜悪になってしまったことと、スロースモーキングが一段とラクになったことぐらいか。もっともスロースモーキングは自分の技術が上がっただけかもしれないが。




葉様はリボンカット。ラタキアとおそらくストーブドバージニアがメインで、オリエントが少々入った褐色。

火付き、着火はとても良い。この辺はなんとなく他の3種とちょっと印象が違う。

この辺は微妙な推測しかできないが、OEMのラインで製造する以上、ミクスチュアに使う葉は4種それぞれでそんなに違いは出ないだろう。つまり使っている葉は同じでミクスチュアだけ違うはずだ。なのに火付きが大きく異なるというのはキャベンディッシュが少ないのか何なのか。30年前の火持ちはもう少し悪かったような気もするし、もしも製造時の葉の含水率を意図的に変えているとすればそれはそれで驚きだけど。OEMになってからバージニアのケーシングやキャベンディッシュの際にイギリス式のケーク工程を省いているという指摘もあるので、その辺ももしかしたら関係あるのかもしれない。後で正確なことがわかれば訂正したいが、一応メモ書きとして記しておきたい。

喫味は
序盤、素直な甘さとマイルドなアロマ。軽いナッツ感のスムーズでまろやかな喫味。
中盤、やや渋みを増すがマイルド&スムーズ、心地良い甘さとラタキアのアロマ。
終盤、ラタキアが次第に強くなるが軽やかさ、まろやかさは失わない。


全体を通して軽やかで爽やかな甘みが終始しておりスッキリとキレが良い。でも軽々しさはない。ラタキアのアロマがしっかりとベースを支えていて深みを感じる。

安定しているので喫味が変わることなく非常に喫いやすい。とにかくまろやかでバランスのとれた良いtobaccoだと思う。尖ったところもなく、変な癖もない。飽きが来ないので常喫性も高いと思う。
欠点を敢えて挙げれば、舌荒れがやや起きやすい事ぐらいか。
イギリス葉の中では間違いなく喫いやすさNo.1だと思う。

ただ、時々物足りなくなることもある。
というのはダンヒルを選ぶ時、キレのあるスッキリした喫味が欲しいならアーリーモーニング、こっくりどっしりした味が欲しいならロイヤルヨット、まったり常喫できるラタキアが欲しいなら965がある。
それらのどれでもあるし、どれにもひとつ足りないのがロンドンミクスチュアなのだ。

長年のパイプスモーカーでダンヒル好きなら、味の調整が欲しかったら迷わず3つの缶を買い求め、場面に応じてマイミクスチュアを作ってしまうだろう。それで済んでしまう。
ちなみに自分なら965やロイヤルヨットにそれぞれ軽めのフレイクを足すか、もう少しどっしり感が欲しかったらバニラやラタキア、ブラックなどを他から持ってくる。アーリーモーニングだけはそのまま。

TPOや時間帯?そういうことが面倒な人のためのtobaccoといえばそうかもしれない。
印象としてはロイヤルヨットがちょっと火持ちに気を使うところがあったり、TPOによって重かったりすることもあるので、そのライト版として重宝する。

要するに現代の趣味のtobaccoの尺度で見ればロンドン〜はパンチや個性は不足している。でもそれは決して欠点ではなくいわゆる第一次世界大戦後の最もパイプの全盛期、誰しもがパイプを咥え、タバコ屋でサッと買ってサッと詰める忙しい時代のレディメイドベストセラーとしてのtobaccoと位置づけていいと思う。
シガレットで言えばセブンスター。そういう性格のtobacco。

だからイギリス葉が初めての人に「最初に何を喫ったらいい?」と聞かれたらとりあえずこれは勧めるだろう。例えば同じ系統の常喫系のイギリス葉なら少なくともサミュエルガーウィスのパーフェクションとこのロンドンミクスチュアは有力候補。実際よく似ているが、喫味のとっつきやすさ、とりあえず常喫もできて一缶無駄にせずに済みそうなマイルドさに関してはロンドンミクスチュアの方が多くのものを持ち合わせている。そしてなんたって名前がDunhillでLomdonだもの、間違いない。

時間帯は朝から夜にかけて。
合う飲み物は、コーヒー、紅茶、水、ビールなど。
1750円/50g(2014)


  1. 生葉芳香 弱←○○○○★○○○○→強
  2. 甘  み 少←○○○○○★○○○→多
  3. 味の濃淡 淡←○○○○★○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○★○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○★○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○★○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○○★○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○○★○→良
  9. 常  喫 無←○○○○○○○○★→有
  10. 個  性 弱←○○○★○○○○○→強



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