パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2014年7月3日木曜日

Samuel Gawith Full Virginia Flake


当分の間パイプタバコレビューは、Samuel Gawith (サミュエルガーウィズ)という、イングランド産のtobaccoについて書いて行こうと思っています。

サミュエルガーウィズの歴史が始まるのは1792年と云いますから、かなり古いタバコ会社の一つです(イギリスでは最古とも云われる)。本格的にパイプ用の葉を製造しだしたのは19世紀に入ってからだそうですが、200年前の機械を使って、今でも湖水地方の中心地ケンダルという町で昔と変わらぬレシピでtobacco作りを行っています。
イギリスらしい、実直で上質なパイプtobaccoを味わえる貴重なブランドです。ブレンド(形態)は70種以上、日本で買えるだけでも18種類、一巡するにはかなりのハイペースでフルスモーキングしても半年はかかると思います。
全てをレビューできるとは思いませんが、僕のパイプスモーキングの目的の一つに、イギリスtobaccoとじっくりと向き合いたいという気持ちが長年あります。サミュエルガーウィスはその中でも特に重要なブランドです。そんなわけでしばらくこのブランドを重点的に書いておきたいと思います。
一番目はFULL VIRGINIA というフレイクtobaccoについて。



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Full Virginia(フルバージニア)はその名の通りブレンドなしのヴァージニア種を熟成させたtobacco。サミュエルガーウィスのラインナップの中で最もポピュラーな葉。葉といってもフレイク。缶を開けると木っ端のようなものが何枚か入っている。木っ端に見えるけど立派なtobacco。

 「Flake(フレイク)」とは、簡単に言うと薄い板状になったtobaccoのこと。


缶を開けるとプンパーニッケル(ライ麦100%のライブレッド)によく似た独特の酸味ある芳香が鼻をつく。とてもモイストで見た目も感触もライブレッド。このまま食べられそう(違)。香味付けも一切なし。

フレイクの詰め方は、1時間ほど乾燥(部屋の湿度に馴染ませる)させてから折りたたんで詰めるか、縦にさきイカのように裂いた後、軽く揉んで詰めるか(Rub)、キューブカット(Cube Cut)で喫する。かなり含水率が大きいのでキューブカットもおすすめ。
(参考:フレイク、Rubとキューブカットについて)

火付きは全く良くないが、葉の含有水分の問題なので一度安定してしまえば粘りはある。最初の着火分だけ少しもみほぐした細かい葉を載せてもいい。
火種で周囲もどんどん葉が開いてくる。

喫味は序盤から終盤まで一貫してとてもマイルド。
爽やかさと暖かみが同居している。
味にクセや角やエグみが一切なく、ほんのりスパイシーな味と、一見そっけないように感じるアロマが、時折コクが顔を覗かせ思索や作業を邪魔しない程度に次第に深くなる。
甘み…というほどの甘みはないがtobaccoが本来持つ甘みと緩やかな渋み、ニコチン感がとてもバランス良く、喫後が爽やかで満足感は高い。

スロースモーキングは難しい。ブロー&ドローは頻繁か、あるいは強めに心がける。
フレイクカットはそもそも風の吹く屋外で喫することを前提にしている。念入りに揉んでこねて部屋でスロースモーキング…というやり方はこの葉の持ち味を活かしているとは言えない。簡単に粗めに裂いて緩めに詰めるだけでいいので、実はミクスチュアよりもイージーだ。

舌焼けの危険性も少ないので、煙多めにアロマを引き出すようにしながら短時間(といっても40分はゆうに超えるが)で味わい、ジュースが出たり着火ができなくなった時点で一旦休ませたほうが、この爽やかで暖かな味わいを引き出せる気がする。
終盤になっても喫味はさほど変わらないので、どうしても残り葉が出るようであれば、一旦休ませて時間をおいて再度着火すれば良い。
終盤のアロマは少しずつこってり感が出てくるが、最後まで爽やかさは消えない。
ボウルは問わないが、できればピーターソンなどジュースを気にせずに済むものがいい。

パイプスモーキングで、極端にジュースを出すのを恐れる人がいるがジュースに気をつけるか気にしないかは葉によって考え方を変えたほうがいい。

モイストで火持ちが悪い葉は屋外でパイピングするとそれが逆に過燃焼を防いでくれるメリットもあるし、ジュースもさほど出なくなる。味も爽やかで野趣あふれる。昨今はなかなか難しいかもしれないが、屋外に出て味わってみることをおすすめする。

特にイギリス葉はモイストでジュースの出やすい葉が多い。スロースモーキングや、乾燥させても喫味が変わらない葉であれば良いが、煙量を増やしたほうが旨い葉やモイストのまま吸った方が旨い葉はジュースは宿命だ。
葉が濡れてきたら火を落とせばいい。
そういう喫み方もあるということ。


時間帯は午前〜午後、屋外、一息入れたい時に。意外と朝もいける。ただしニコチンは強いので酔いに注意。
合う飲み物は、紅茶、コーヒー
1900円/50g(2014)

  1. 生葉芳香 弱←○○○○○★○○○→強
  2. 甘  み 弱←○○★○○○○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○★○○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○○★○○→熟
  5. アロマ  淡←○★○○○○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○○★○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○★○○○○→強
  8. 火持ち度 悪←★○○○○○○○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○★○○○○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強









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