パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2017年2月27日月曜日

Rattray's Macbeth


ラットレー・マクベス
使用葉:バーレー、バージニア、着香
ブランド:イギリス
製造:ドイツ
葉様:リボンカット


日本で買えるラットレーが続々と。
このマクベスも、数年前までは輸入元の柘植のカタログラインナップにはなかったものです。
取り敢えず買ってみました。

買ってから、マクベスがバーレー種メインのミクスチュアだということを知りました。
バーレー種づいてます。
前回書いたピーターソン・アイリッシュオークでバーレー種の魅力を知り、もう少し味わってみたいと思っていたところでした。
マクベスはさらに、シンプルにバーレーとバージニアだけのブレンド。
願ってもない出会いです。

缶を開けると、甘い香り。
最初、着香のそれではなく、バージニア特有の甘いフルーティなそれかと思いましたが、花の香り。なんか春っぽい。ちょっとベリー系の着香がされているようです。
と言っても本当に微かなもの。
よく手入れされたアンティーク家具が設えられた、そして花が飾られた上質なサロンがこんな香りがするのを思い出しました。


葉様は色は浅め、細めのリボンカットです。


火付、火持ちも全く申し分ない、そして序盤から旨いのもラットレーらしい感じです。
喫味はあくまでも軽く浅め。

一見、粉っぽい、乾いたいかにもバーレーといった感じの喫味が表が主張します。
ところがその後にバージニアの下支えでしょうか、どんどん甘さが増してきます。

その甘さは舌にいつまでも残りますが、若いバージニアオンリーにありがちな、バイトや辛味を伴った嫌な甘さではなく、やさしく柔らかく好ましい、いかにもパイプtobaccoらしい甘さです。

バージニアそのものがオレンジの上質なものであるだけでなく、バーレーとのブレンドの具合が絶妙なのでしょう。
そしてあくまでもこの葉の主役はバーレー。

アロマも、前回に書いたピーターソン・アイリッシュオークと同じく、ブローによる鼻腔へのアロマが抜群です。

これはバージニアだけでは決して出てこないものです。オリエントやラタキアはそれを補うためのものですが、バーレーでもこんなにふくよかなアロマになるのだとは今まで気づきませんでした。
バーレーの醍醐味を、僕は前回と今回の2つの銘柄で初めて知ることが出来ました。

これはこれから紙巻きタバコからパイプに移行を考えている方には最高の体験になるのではないでしょうか。
あくまでも喫味は(パイプとしては)軽く優しめ。そして紙巻きのようなtobaccoらしいドライなルームノート。そして後味にパイプ特有の深い甘み。それらが一度に楽しめます。

常喫葉としてかなり最高の葉なのですが、数年前までカタログになかった銘柄ということもあり、果たしていつまで輸入が続くか心配なところもあります。

僕がこのブログで紹介してきた最高の葉のいくつかも、いつのまにか取扱中止になったりして入手できなくなってしまったものがあって残念です。

パイプ人口のパイが小さいからしょうがないんですけどね。

どんどん肩身の狭くなる「タバコ」ですが、パイプtobaccoは、肺に送り込んで完結してしまうようなそれとは一線を画した奥行きと豊かさを持っています。

coffeeがインスタントの粉ではなく、産地を知り、ドリップやサイフォンで淹れて初めてcoffeeであるのと同じように、tobaccoも、大工場で紙に巻かれてきた工業製品ではなく、農産物であり、産地や銘柄で全く異なる個性と豊かな風味を持っています。

それ故にきちんと味わうにはコストや手間暇などめんどくさい一面も持っているのですが、文化としてどうにか残って欲しいなあといつも思います。

この葉もどうか末永く味わえますように。

合う飲み物はコーヒーや紅茶。
春の陽気にぴったりのtobaccoです。


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