パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2014年8月8日金曜日

Dunhill Flake



ダンヒル・フレーク
バージニア
製造国:デンマーク(OEM)

開封すると、バージニアの葉のイラストと金封が現れる。
それを丁寧にはがして中紙をめくると、ひと目で上質と分かるフレイクが整然と並んでいる。

香りはまさにバージニア葉特有の、蜂蜜と花の香りをブレンドしたような甘い香り。
日本のピースがこれに近い香りだが、ダンヒルフレークはそれよりもう少し抑制の効いたものになっている。
もちろん着香はない。正真正銘バージニアのみの香りだ。同系のサミュエルガーウィス・フルバージニアと比べると、あまりに上品で繊細な香りだ。

葉様は明るいブラウン。サミュエルガーウィス・フルバージニアはプンパーニッケル(ドイツのライ麦100%パン。パンというよりライ麦版フレーク)に似ているが、ダンヒルフレークは見た目も香りもまるでアーモンドスライスクッキーのよう。


このtobaccoは、ほぐさず、キューブにもせず、そのまま折り曲げてパイプに詰めて味わいたい。
さほどモイストではないので缶から取り出してすぐに詰めても全く問題ない。一枚4g余、縦に折ってから半分の長さに折って、捻りながら詰める。


火つきは良好、火持ちもとても良く全く気を使わずにスロー&ロングスモークが可能だ。2時間を超えることも全く難しくない。

序盤からバージニアの上品な甘みとアロマが支配する。キツ過ぎもせず、軽過ぎもしない。
中盤はそれに爽やかさが加味されて実に軽快だ。ほのかに土の香りと、ワイルドベリーの気配。

終盤はややパンチが効いてくるが、抑制の効いた甘みと爽やかさに包まれている。しかもそれは軽々しさや心許ないものではなく、充実感に支えられている。

どこにも尖ったところや足りないところはない。上質なバージニアを味わいたいという望みを、リボンカットでもファインカットでもなく、きちんと調理されたフレーク(ケーク)で実現できるというのはこの上ない喜びであり贅沢だと思う。

ダンヒルはどのtobaccoも喫う度に「うん、これでいい」と思わせる要素をたくさん持っている。それは「可もなく不可もなく」ではなく「考えぬかれた中庸」というものを持っている。
様々なtobaccoを遍歴しても最終的にはここに落ち着くのではないかと予感させるのだ。フレークもそんなキャラクターだ。

以前、無人島にパイプ葉を一つだけ持っていくとしたら965を持っていくと書いたが、身軽な旅装を要求される旅先に持って行くならこのダンヒルフレークになるのではないだろうか。それは缶の小ささによるところも大きいかもしれない。サミュエルガーウィスの缶の約2/3ぐらいの大きさしかない。しかしそれ以上に大きな理由は、このtobaccoがtobaccoとしての基本を全て備えており「これでいい」と思わせるシンプルで単純明快なパイプ葉の長所を全て持ち合わせているところが大きい。
もう一つ言えば、優れたフレークはタンピングがほとんど要らない。これほど神経を使わずに済むフレークを他に探すのはなかなか難しい。良いtobaccoだ。


時間帯は問わない。ニコチン酔いの心配は中程度。舌焼けの可能性は少しある。
合う飲み物は水、紅茶。
1750円/50g(2014)

  1. 生葉芳香 弱←○○○○○★○○○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○○★○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○★○○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○★○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○★○○○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○★○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○○★○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○○★○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強


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