パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2014年8月31日日曜日

Rattray's Marlin Flake



ラットレー・マーリンフレーク
バージニア、ブラックキャベンディッシュ、ペリク
原産国:ドイツ


ラットレーのBlack Mallory(ブラックマロリー)を常喫葉のひとつにしている。本当に素晴らしいtobaccoだ。
Marlin Flake(マーリンフレーク)はそのラットレーで最も人気のある葉と言われる。

ラットレーは元々スコットランドのブランドだったが、今はドイツのtobacco会社(コールハス)のブランドだ。レシピそのものは受け継がれておりイギリスタバコそのものだ。

葉様はフレークだが、シート状になっているのではなく、荒い帯状のフレークが折りたたまれている感じ。

 開封すると、レーズンに似た甘いドライフルーツの香りが漂う。着香はされていない。

一般的なシート状フレークと違い、ボウルに詰める分を目分量で取り出す。するとほろほろとほどけていわゆる「レディラブド」に近い状態になる。 (ブロークンフレークと呼ぶそうだ)

これをなるべく崩さないようにまとめ、折り曲げてボウルに詰めるのだが、フレークは詰め方の加減も難しく、ミクスチュアのように一筋縄では行かないところがある。自信がない時は少し手間暇はかかるが乾燥時間をかける代わりにキューブカット状にしてしまってもいい。すると詰めの調整にさほど神経を使わなくても火持ち良くスロースモーキングが可能だ。

火付きは良い。火持ちは良い方ではないが詰め方と乾燥次第で良くなる。マーリンフレークに限ったことではないが火持ちを良くするための事前の乾燥は必要だ。乾燥しすぎれば風味を損なうので加減がいる。目安は30分程度。



フレークをフレークのまま喫う利点は、そのスロースモーキングにある。極力スロースモークを心がければ、爽やかで透明感のある甘さと熟成感たっぷりのアロマを圧倒的長時間、しかも最後まで楽しめる。コツはドロー(喫い)よりもブロー(吹き)を意識すること。息圧はほとんどいらない。消えかかったら軽くタンピング、ボウルのトップを指で半分塞いでドロウする。

序盤、バージニアらしい甘さとペリク特有のやや刺激のあるアロマがこのtobaccoの深い味わいを予感させる。透明感のある甘さが心地よい。
中盤はややコクが増してアロマが強くなってくる。暖かみのあるややクセのあるアロマは、秋晴れの日当たりの良い乾いた松林の木陰にいるような香りがする。
松脂の芳香と、かすかな腐葉土の香りが風にのってやってくる。
終盤はその色がぐっと深くなり、夕日と共に終了する。
この乾いた太陽の香りは主にペリクのアクセントによるものと思われる。

ペリクとは、タバコ葉の古漬けのようなものでコクと酸味を強調しアロマを深くしてくれる。キャベンディッシュも実はタバコ葉の漬物なのだが、両者は製法や葉の選定、熟成(発酵)の仕方の違いで分けられ風味も全く違う。詳しい説明は割愛するが、キャベンディッシュは時に「ケーシング」といって着香の工程として語られる事がある。イギリス式のキャベンディッシュにはそれはない。ただ喫味のコクやまろやかさを引き出すためには欠かせないパイプ葉の基本的熟成加工法だ。ブランドによっていろんなアプローチがなされる。だからキャベンディッシュと一言で言っても様々な味、アロマになる。
ペリクはそれよりももっと厳密に製法が定義されており、そのアロマや風味は一度でもペリクを味わった事があればそれとすぐ分かるものだ。もっともオリジナルとされるペリクはアメリカの特定の産地や製造地で限定されており、実際のところ本物のペリクに出会うことはそうそうあることではない。また単独で使われることもなくブレンド葉として使用する。

マーリンフレークにブレンドされているペリクもオリジナルではなく、製法を守った上での「ペリク」であろう。使用量もそう多くはない。ただそれが全体の喫味に個性を与えていることだけは確かで、バージニアの甘みの奥に広がる柔らかい酸味と爽やかなコクで判別できる。またアロマにはナッツを焦がしたような香ばしさが加わる。

マーリンフレークはとても上品なフレークだ。飽きの来ない穏やかな甘さの喫味は日々のtobaccoとしては申し分ない。
ただ、国内販売のそれはキャラクターに比してちょっと価格が張りすぎるのが難点で常喫tobaccoとしてはおすすめとは言い難い。
個人的にはサミュエルガーウィスのフルヴァージニアやダンヒルフレークの方が気軽に常喫できるし、もしもペリクが欲しい時は他にも選択肢はいろいろある。


もちろん値段のことを除けばとても良いtobaccoだ。葉の見た目に反してとてもあっさりした喫味が持ち味、飽きの来ないアロマが好感が持てる。
ただし舌荒れはかなりのスロースモーキングでも可能性は高い。
それ以外は全てマイルドでニコチン酔いの心配もいらない。
時間帯はデイタイム、合う飲み物はコーヒー、水など。

2250円/50g(2014)



  1. 生葉芳香 弱←○○○○○★○○○→強
  2. 甘  み 少←○○○○○○★○○→多
  3. 味の濃淡 淡←○○○○★○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○★○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○○★○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○★○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○○○○★→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○★○○○○→良
  9. 常  喫 無←○○○○○★○○○→有
  10. 個  性 弱←○○○★○○○○○→強







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