パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2014年8月22日金曜日

GoldenBat



ゴールデンバット
バージニア葉
喫煙時間:標準約7分、RYO約13分

ゴールデンバットは現存する日本最古の銘柄だ。100年はゆうに超える。
あっさりしたバージニアの甘い香りとすっきりとした味わい。
ピースのそれに比べればずっと淡白で辛味が勝つが、軽い分飽きのこないキレの良い喫味を楽しめる。
フレーバーは一般にラム酒と言われているが詳細は不明。

葉様はピースに較べてずっと細かく粉砕されており、葉色が明るくまるでオリエント葉のようだ。
1級葉を使用しているものはファインカットに近いが、しんせいやゴールデンバットなど3級葉を使用しているものは葉脈部分が多く、時折粉寸前のものがあったりする。この特徴はしんせいにも通じる。

葉詰めの密度は、他の巻きタバコに較べてずっと荒い。
この辺がゴールデンバットを個性あるtobaccoにしている要因でもある。

個人的には学生時代、一番お世話になったtobaccoでもある。
残念ながら当時のものとは巻きもパッケージも値段もすっかり変わってしまったが、味だけは当時とさほど変わっていないのが嬉しい。

30年前、ゴールデンバットは20本入り70円だった。当時のベストセラーであるセブンスターが180円だったから、当時としてもかなり破格だった。

破格故「くずタバコ」などと悪口を言われてもいたがとんでもない話で、ピースを選ぶかゴールデンバットを選ぶかは、単純に自分のふところ事情だけで、本当にうまいタバコであった。

というよりゴールデンバットの良さを分かるという事自体、ゴールデンバット愛好者だけが共有できる誇りといえるかもしれない。


「国民のタバコしんせい安くて量がある」という何かの替え歌をべろんべろんに酔っ払う度に歌っていた体育会系なノリを、ゴールデンバット喫いの変人達はふふんと一笑していた。

というのも、ゴールデンバットは一日一箱単位で買えるタバコではなかったからだ。
努力と智慧がないと愛用できない。
しんせいは運が良ければその辺のタバコ自販機で買えない事もなかったが、ゴールデンバットは当時供給がとても不安定で、毎週水曜日に街の一番大きなタバコ屋にて一人4箱ずつしか購入できなかったのだ。
4箱じゃ4日ももたないじゃないか!

そこで変人共(資本なし)は考えた。下宿のヒマな住人達を集めて夜な夜な麻雀をやる。バット愛好者は揃って麻雀が強かったので、負けた連中への貸しをチャラにしてあげる代わりに、水曜日に一緒にタバコ屋の前に並ばせる。かかるのは一人280円。8人並んで32箱、これを4人でわけあってもどうにか一週間は持つ。そうしてコツコツ確保したゴールデンバットのストックは常時100箱を超えた。
その100箱を好きな時に実費で分け合う。
もっとも下宿の住人達はみんな友情に厚かった(ヒマだった)から、麻雀なんぞ勝っても負けてもやらなくても並んでくれた。

この70円の名品こそが、僕に「吹かし(口腔内喫煙)」で味わうタバコの旨さを教えてくれたのであり、パイプや葉巻への入り口となったtobaccoでもある。



そんな訳で、RYOで喫おうがどうしようが結構どうでもいいのだけれど、やはりせっかくだからヘンプで巻き直してみよう。
上段:RAWの無漂白ヘンプ
中段:オリジナルのバット
下段、RAWで巻き直したもの
使用するのはRAWの70mm、無漂白のヘンプペーパー。
バットは葉詰めが荒いので、70mmローリングマシンにセットしても十分に間に合う。
昔のバットはちょうどこの手巻き70mmと同じレギュラーサイズの細巻きだったので、昔のサイズに戻すという事になる。
詰めは少しだけきつくなるので、過燃焼が防げて味にやや甘みが増す。
バットのキレの良い旨味が強調されてなんとも心地よい。
なんといってもただでさえ短いバットの喫煙時間が10分を超えるのが嬉しい。

バットの喫い方は、肺に入れずに口の奥の方で味わうのがいい。
例えばパイプをゆっくり燻らしている時間が無い時、何かに集中している時、知的作業のパートナーになってくれる。
そして、チェーンスモークがよく似合う。

惜しむらくはパッケージデザインの改悪だ。ピースにせよこのような歴史的文化的に残す価値のあるデザインは決してくだらない警告文を載せるために変更してはならない。さっさと元のデザインに戻すべきだ。

210円/20本入り(2014)


  1. 生葉芳香 弱←○○○★○○○○○→強
  2. 甘  み 少←○○○○★○○○○→多
  3. 味の濃淡 淡←○○○★○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○★○○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○★○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○★○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○★○○○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○○○★→良
  9. 常  喫 無←○○○○○○○○★→有
  10. 個  性 弱←○○○○★○○○○→強

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