フランドリア・ブラック
原産国:ベルギー
パッケージには「Dark air cured and fired」とある。つまり「空気乾燥した後、ストーブ(低温で煎った)葉」という意味で、いわゆる「黒タバコ」の部類に入る。「葉巻に喫味が似ている」と称されるが早い話ジタンやゴロワーズと同類のもので、葉巻とは製法も原料葉も異なる。実際には乾燥して煎るだけでなく積層発酵もさせている。故に生葉の香りは熟成香となる。
葉様はシャグで非常に細かい。
生葉の香りは一言で言えば「馬草または腐葉土のにおい」だ。しかしゴロワーズ等と比べるとその独特の香りはずいぶんと控えめ。
シャグカット葉をRYOで喫う場合、ローリングマシンで巻くとどうしても細くなりがちになる。加えて刻みが細かいため、葉詰めをキツめに巻くことになる。そうなるとどうしても味の線が細く鋭くなり、喫味がいまいちハッキリとしなくなってしまう。フランドリアブラックの場合はそれが顕著で、細身に巻いて生葉の芳香を頼りに喫っても味もアロマもぼやけてしまって美味しくない。基本的に手巻きにして太めに巻くのが良い。
実はこのフランドリアブラックは数カ月前に買い求めていたのだが、往年のジタンの風味を期待したせいか、やや物足りない部分もあって、開封後すぐに放置していた。
今回の印象を書くに当たり加湿保存していた残りの葉をしばらくぶりに取り出し、RYOとミニパイプの両方で喫ってみた。
生葉のあのむせ返るような香りはやや飛んでしまっていたが、燻らした時のアロマは熟成感が増していた。
もちろんRYOでも旨いのだが、ミニパイプに詰めて(燃え方が速いので詰め方や喫い方に注意が要る)みると、ココアのような風味に出会うことができる。
黒タバコの特徴は、ニコチンが少なめで甘みはなくアロマが豊かだというところ。味というよりはアロマを味わうために燻らすところがあって、誰かが喫っていると周囲はすぐに「あ、黒タバコだ」と分かる。
喫味は基本的に終始渋いがクール&スロースモーキングを心がけて上手に喫うと、コーヒーやココアの様な喫味が出てくることがある。ゆえに本来的に黒タバコは燃焼剤の入らないRYOやパイプに向いている。
特にフランドリアブラックは、往年のジタンのような独特の渋みとエグみのある「いかにも通好み」なタイプではなく、風味は似ているが優しくマイルドでその辺が引き出しやすい。ニコチン酔いの心配もなく気軽に楽しめる。個人的には、シャグカットではなくせめてファインカットぐらいの方が風味が豊かな気もするが、これでも加湿を十分にし太めに巻いてクール&スロースモーキングに徹すると思いもよらなかった複雑な味わいに出会えることは間違いない。初めて黒タバコを喫ってみたいという人にとっては最適だと思う。
価格が安めだが30gと他のシャグに較べて少ない。50g換算すると1100円でコスト的にはやや高めのシャグの部類に入る。
バージニア系に慣れた人には常喫性には劣るが、混じり気のない黒タバコを味わうために常備しておいて損はない。
660円/30g(2014)
- 生葉芳香 弱←○○○○○○★○○→強
- 甘 み 少←○★○○○○○○○→多
- 味の濃淡 淡←○○○★○○○○○→濃
- 熟成感 若←○○○○○○★○○→熟
- アロマ 淡←○○○○○★○○○→濃
- 満喫感 弱←○○★○○○○○○→強
- 舌アレ度 弱←○○○★○○○○○→強
- 火持ち度 悪←○○○○○○○○★→良
- 常 喫 無←○○○○★○○○○→有
- 個 性 弱←○○○○○○★○○→強
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