サミュエル・ガーウィス・サムズフレーク
バージニア、オリエント、トンカビーンズケーシング
原産国:イギリス
熟成されたフレークはライ麦パンの香りがするが、これはシュトーレンのそれととても良く似た甘い香りで、酸味を感じさせるものはない。
四つ折りにして(19mmパイプの場合は半分に切ってちょうど)ボウルにねじり込んで火をつけるが安定までやや苦労する。開封直後なら乾燥は1〜2時間は必要。火持ちを良くしたいなら一晩は放置した方がいい。
他ブランドのフレークでは何の苦労もしないのにサミュエルガーウィスでは悪戦苦闘する事も少なくない。
火付き火持ちは開封して乾燥すればするほど良くなる。しかし味の方はモイストのままの方が良いので悩ましい。
消えてほしくはないけどゆっくり燃えて欲しい。そのためにはなるべく開封直後のモイストをキープしておきたい。となると火の管理は結構忙しく、他の何かをしながらの「ながら喫い」は難しい。
このサムズフレークも同様で、乾燥させれば火の管理に全く苦労はしないのだが、なるべくならモイストのまま頑張りたい葉のひとつだ。
(追記:ほぐして少し揉んで「レディラブド」の状態で詰めたところ、火付き、火持ちも申し分なく、また風味も失われずに喫うことができた。)
火が安定して序盤、優しく暖かい甘みで満たされる。パンチや刺さる要素などはひとつもなく、ひたすらスムース&マイルドだ。
トンカビーンズのアロマもしっかりと感じ取れる。
熟成香ではなくオリエント的なアロマも強い。カタログを見ると「各種バージニアブレンド」とあるが、むしろオリエント葉主体のtobaccoではないだろうか。
中盤から喫味にややキックが出てくるが、主体は優しい甘みと香ばしさ。煙量はとにかく少なく消えかかる寸前が美味い。
ポカポカした陽の注ぐ草原にピクニックに出かけたような感覚。そこでバゲットと若い白かびのチーズを広げ、物静かな恋人とランチをしているような感じだ。リラックスとおおらかさと安心。
ストーブされたバージニアは終盤になるにつれてより一層香ばしさを増し、トンカビーンズのアロマが沈んでいくのと引き換えにどんどん顔を出す。
サミュエルガーウィスらしい土の香りと深みのある喫味に包まれてくる。
優しい夕陽を浴びて終了。
サミュエルガーウィスらしさと親しみやすさのバランスのとれたフレークだと思う。特別なギミックがあるわけでなく、わかりやすいサインやクライマックスがあるわけでなく、華やかさもない。淡々としかし濃厚な時間が過ぎてゆく。それは退屈な時間ではなく深い沈思とリラックス。自分を取り戻す大切な時間。
イギリスタバコの様式美。
ひと通りフレークに慣れた人におすすめしたいtobaccoだ。
舌荒れの心配は中程度。ニコチン酔いの空腹時以外は心配はない。
合う飲み物は水、コーヒー、ワイン、ブランデーなど。
時間帯は昼〜夜。
- 生葉芳香 弱←○○○○○★○○○→強
- 甘 み 弱←○○○○○★○○○→甘
- 味の濃淡 淡←○○★○○○○○○→濃
- 熟成感 若←○○○★○○○○○→熟
- アロマ 淡←○○○○○★○○○→濃
- 満喫感 弱←○○○○○★○○○→強
- 舌アレ度 弱←○○○○○★○○○→強
- 火持ち度 悪←○○○○○★○○○→良
- 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
- 個 性 弱←○○○○○★○○○→強
1900円/50g(2014)
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