パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2014年10月2日木曜日

SAM'S FLAKE


サミュエル・ガーウィス・サムズフレーク
バージニア、オリエント、トンカビーンズケーシング
原産国:イギリス

同社の「1792」とよく似た葉様、芳香を持つフレーク。 開封すると真っ先にトンカビーンズの甘くてスパイシーな香りを感じる。 ややモイストな比較的整ったフレークを手に取ると密度のあるどっしりとした重みを感じる。量ってみると1枚当たり5gを少し超えていた。

熟成されたフレークはライ麦パンの香りがするが、これはシュトーレンのそれととても良く似た甘い香りで、酸味を感じさせるものはない。
四つ折りにして(19mmパイプの場合は半分に切ってちょうど)ボウルにねじり込んで火をつけるが安定までやや苦労する。開封直後なら乾燥は1〜2時間は必要。火持ちを良くしたいなら一晩は放置した方がいい。

安定すれば火持ちは良いが、サミュエルガーウィスのフレークに共通することとして、乾燥時間の配慮や、火付きから安定までにややテクニックが要る印象がある。
他ブランドのフレークでは何の苦労もしないのにサミュエルガーウィスでは悪戦苦闘する事も少なくない。

火付き火持ちは開封して乾燥すればするほど良くなる。しかし味の方はモイストのままの方が良いので悩ましい。
消えてほしくはないけどゆっくり燃えて欲しい。そのためにはなるべく開封直後のモイストをキープしておきたい。となると火の管理は結構忙しく、他の何かをしながらの「ながら喫い」は難しい。
このサムズフレークも同様で、乾燥させれば火の管理に全く苦労はしないのだが、なるべくならモイストのまま頑張りたい葉のひとつだ。

(追記:ほぐして少し揉んで「レディラブド」の状態で詰めたところ、火付き、火持ちも申し分なく、また風味も失われずに喫うことができた。)

火が安定して序盤、優しく暖かい甘みで満たされる。パンチや刺さる要素などはひとつもなく、ひたすらスムース&マイルドだ。
トンカビーンズのアロマもしっかりと感じ取れる。
熟成香ではなくオリエント的なアロマも強い。カタログを見ると「各種バージニアブレンド」とあるが、むしろオリエント葉主体のtobaccoではないだろうか。

中盤から喫味にややキックが出てくるが、主体は優しい甘みと香ばしさ。煙量はとにかく少なく消えかかる寸前が美味い。

ポカポカした陽の注ぐ草原にピクニックに出かけたような感覚。そこでバゲットと若い白かびのチーズを広げ、物静かな恋人とランチをしているような感じだ。リラックスとおおらかさと安心。


ストーブされたバージニアは終盤になるにつれてより一層香ばしさを増し、トンカビーンズのアロマが沈んでいくのと引き換えにどんどん顔を出す。
サミュエルガーウィスらしい土の香りと深みのある喫味に包まれてくる。
優しい夕陽を浴びて終了。

サミュエルガーウィスらしさと親しみやすさのバランスのとれたフレークだと思う。特別なギミックがあるわけでなく、わかりやすいサインやクライマックスがあるわけでなく、華やかさもない。淡々としかし濃厚な時間が過ぎてゆく。それは退屈な時間ではなく深い沈思とリラックス。自分を取り戻す大切な時間。
イギリスタバコの様式美。

ひと通りフレークに慣れた人におすすめしたいtobaccoだ。
舌荒れの心配は中程度。ニコチン酔いの空腹時以外は心配はない。
合う飲み物は水、コーヒー、ワイン、ブランデーなど。
時間帯は昼〜夜。

  1. 生葉芳香 弱←○○○○○★○○○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○○★○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○★○○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○★○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○★○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○★○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○★○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○★○○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強

1900円/50g(2014)





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