トーベンダンスク・タバコ・スペシャル・ブレンディング・タバコ・ラタキア・シーパン(キプロス)
使用葉:キプロス産ラタキア(100%)
原産国:ドイツ(DAN)
価格:1950円/50g(2015)
ラタキアとは、簡単に言えばオリエント葉の燻製です。
シリアの地中海沿岸にあるラタキア地方で、余ったtobaccoを家の中、暖炉(囲炉裏)の天井に吊るしていたところ、燃料として使われていたラクダの糞でいぶされてできた燻製がオリジナルと言われています。
乾いて縮れた真っ黒な葉色と独特の薫香、スパイシーさと熟成された風味が特徴で、イングリッシュミクスチュアのブレンドには欠かせない葉になっています。
現在は需給のバランスや政情不安等の影響でシリア産よりもキプロス産の方が多く用いられているようですが、今でも一部の英国産ミクスチュアにはシリア産が使われているようです。
シリア産とキプロス産のラタキアの違いについてはシリア産ラタキアの時にまた改めて紹介したいと思いますが、我々が普段ミクスチュアのtobaccoを買い求めてお目にかかる「ラタキア」風味の多くはキプロス産で薫香が強く喫味にラタキアの風味付けが如実に現れるのが特徴ですが、オリエント由来のアロマの複雑さはシリア産にやや劣ります。
そもそもラタキアはとても薫香やアロマが強い割にtobaccoとしての風味は単体では現れにくく、ラタキアのみで喫うことはまずありません。ミクスチュアの10%〜50%の割合でブレンドすることによって、他の葉に隠れていた風味を引き出し、パイプの複雑な味わいを引き出してくれる調味料のような存在です。
このトーベンダンスクのラタキアもパイピストが自分でブレンドして使うことを前提に売られています。
僕はこのブレンド用ラタキアを、サミュエルガーウィスのバージニア系(フルバージニア、ゴールデングロウ、ベストブラウン、1792フレーク)と合わせて使うことが多いです。
特に上質なバージニアのゴールデングロウとの相性は抜群で、バイト(舌荒れ)を和らげ、美味いが単調になりがちなバージニアの風味に複雑な変化をもたらして豊かな喫味とアロマに変化します。50:50ぐらいでブレンドするとかなりディープなミクスチュアになります。
1792フレークとのブレンドはさらに複雑で、アロマが際立って強くなり深い沈思の世界に浸ることができます。こちらは1792が七割、ラタキアが三割程度が双方の良さをもっとも深く味わえるかもしれません。
ブレンドする際はフレークを揉みほぐしてラヴドの状態にしてミックスします。
ちなみに100%で喫うことも可能ですが、元々甘みやニコチンの弱いオリエント葉をかなり深く燻製化しているため、オリエントならではの脂っぽさもなく単調で渋みばかりが前面に出るので喫味面での充実感はありません。アロマも、どことなく熟成の深い葉巻を喫っているようなアロマは味わえますがバージニアとブレンドした時のようなたっぷりとしたアロマには欠けます。
TorbenDanskのブレンド用シリーズには他にシリアラタキア、オリエント、ペリク、ヴァージニア、キャベンディッシュなどがあり全てドイツのDanTobaccoが作っています。
先に紹介したBill Bailey's Balkan blendもDanTobacco製で、おそらく同じ素材のキプロス産と思われるラタキアを半分程度使っているように思われます。ラタキアミクスチュアならではのスパイシーな薫香を楽しむことができます。