パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2014年7月17日木曜日

Sweet Dublin Irish Whiskey






内容:バージニア、キャベンディッシュ、アイリッシュ・ウィスキー
製造国:デンマーク

学生だった数十年前、初めて国産のビリアード型のパイプとこのスィートダブリンを買い求め、パイプ喫煙に入門した。パイプは3000円弱、葉は500円前後のように記憶している。

当時、スイートダブリンが初心者用のパイプたばこと言われていたかどうかは分からない。なにぶん、周りにパイプをやっている知り合いなど一人もいなかった。

しかし今改めてこうして喫ってみると、スイートダブリンはパイプ入門に最適のtobaccoだと思う。

葉様は理想的なリボンカットでムラもなく詰めやすい。湿り気も開封時がちょうど良い。欠点は過燃焼になりやすく、それ故舌焼けしやすいことぐらいか。

生葉の香りはほんのりと甘い。ケーシング(香りづけ)にアイリッシュ・ウィスキーを使用しているということだが、おそらくそれだけではなく複数の香味付けがされているはずだ。

ただ、他のいくつかのコンチネンタルな着香系のtobaccoにも言えることだが、30年前と現在とではかなり喫味や芳香は異なってきており、現在のそれは非常にマイルドで自然なものに変わっている。当時は生葉芳香もルームノートも今よりずっとドギツく、ムッと充満していた。これはあくまで推測だが、かつてはエチレングリコール系の保湿剤または甘味料の影響もあるのではないかと思う。


火付き、火持ちは非常に良い。無造作にボウルに詰めても、慣れている人ならマッチ一本で火種ができるほどだ。故にやや強めに詰めてちょうどいい。

喫味は序盤から甘みとこっくりとしたアロマが程よくまとわりつく。これがいわゆるパイプの煙だよと語りかけるような、見本のような分かりやすい喫味だ。
一方でウィスキーで香りづけしたということを忘れてしまうような茫洋としたところもある。アイリッシュ・ウィスキーというより、「ウィスキーボンボンの水割り」といった感じか。

中盤にかけてもマイルドな甘みは続くが、次第に膨らみはなくなってきてtobaccoらしい喫味になってくる。単調気味になりつつある甘みに渋みが混じってきて過燃焼と舌荒れに注意を要する。

終盤は着香バージニア系リボンカットの常で喫味のキープがやや難しくなる。もしパイプを始めて間もない場合は、辛味やエグみのある香りを感じたらその辺で喫煙終了として、残り葉は勿体無がらずに捨てた方が良い。その場合の時間の目安は30分程度だ。

もちろん上手くスロースモーキングできるようになれば、その倍は火を持たせることができるようになるが、それはもちろん舌焼けとの兼ね合いになる。

数あるパイプ葉の中では決して個性のある方ではない。しかし先述したように喫味とアロマは典型的でパイプ葉の中庸であり、初心者にとってはパイプtobaccoを手っ取り早く知るのに最適。ベテランにとっても気を使わずに手を伸ばせるサブの葉や、ミクスチャーの土台として重宝する。


時間帯は昼〜夜にかけて。
合う飲み物は、紅茶、水、ウィスキーなど。
1200円/50g(2014)

  1. 生葉芳香 弱←○○○○★○○○○→強
  2. 甘  み 少←○○○○○○★○○→多
  3. 味の濃淡 淡←○○○○★○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○★○○○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○★○○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○★○○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○○★○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○○★○→良
  9. 常  喫 無←○○○○○★○○○→有
  10. 個  性 弱←○★○○○○○○○→強

追記:ラタキア系とミクスチュアするととても味わい深い。スイートダブリンの明るさ、やや平坦な甘さとラタキアの熟成感が出会うと、深みのある甘さとこってりしたアロマが表面に出てくる。

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