パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2014年6月24日火曜日

Dunhill Royal Yacht Mixture





ダンヒル・ロイヤルヨット・ミクスチュア
バージニア、プラム
製造国:デンマーク(OEM)


ロイヤルヨットは、20歳の時、初めてパイプとこれとHalf&HalfとSweetDublinを購入、盛大な舌焼けを起こしてパイプ生活にのっけから暗雲が垂れめた思い出の葉だ。
久しぶりの再会。


とは言え当時のロイヤルヨットと今のロイヤルヨットとではだいぶ違う味がするような気がする。OEM供給元が変わっているせいもあるとは思うが、自分の技術の変化もあると思う。今はクール&ドライスモーキングも多少上達しているはずなので、当時よりも少しはマシな感想が書けるかもしれない。

それを差し引いても他のレビューとはかなり違う自分の感想に一抹の不安が残りつつ…。

まず最初に書いておかなければならないのは、多くの評判にあるところの「ミルキー」「スイート」「マイルド」「紅茶」という評価はここでは残念ながら出てこないという点。
この葉は、ストロングだ。
甘みはもちろんある。マイルドさも持つ。
けれど僕のロイヤルヨットの全体的印象は今も昔も「渋く」「太く」「こってり濃く」「固い」。

パッケージには「Exceedingly Mild with a Grand Rich Fravor」とあるが「Exceedingly Mild」のところはちょっと違う。StrongでなくてもせめてMediumぐらいはある。自己流の表現をすればExceedingly Robust」。
甘さを引き出すためにはパイプスモーキングの基本のスロー&クールが要求される


缶を開けた瞬間、圧縮熟成葉と甘酸っぱいフルーツの香りがする。しかし同時にクリーミー。この辺はダンヒルの他のラタキアミクスチャーとは一線を画す。

海外のレビューでは「Plum Fravored」という説明が散見する。元々ダンヒル内製だった頃は当然ノンフレーバーだったはずだから(現在はデンマークの会社のOEMになっている)、レシピが変わってなければプラムなど入っているはずもないのだけれど、実感は明らかにプラムだ。
香料制限の法律もイギリスで消えて久しいし、ましてEU製になってからレシピもいくばくかの変遷はしているのだろう。

プラムフレーバーと言ってもかなり控えめで、葉そのものの香りを支配するほどではない。狙いはプラムそのものの香りではない気がする。圧縮葉の熟成香の酸味とクリーミーがあいまったフルーツヨーグルトの様な香り。
このフレーバーはルームノートに特に反映されていて、パンチの効いた濃い甘さを演出している。
葉様は褐色のリボンカット、965やアーリーモーニングと違いラタキアは一切入っていない。

喫味は吸い方でかなり変わる。
火種も煙も最小限にしてスロー&クールに徹した場合は「スイート」「ミルキー」という表現が合うが、実はあまりスロー&クールに徹してしまうと単調でしつこい甘みだけが続きこのtobaccoの良さは出てこないように思う。

いつよりやや煙を多めに心がけると生葉からは想像できないほどにパンチが効いてガツンと来る。
甘みと酸味、渋みと辛味が遠慮なく一気に広がる。
過燃焼では決してない。
アロマは芯は若く青々として強いが、甘くフルーティな熟成香が伴い、複雑でノスタルジック。これがこの葉の素性。

序盤から甘みと渋みのハーモニー。中盤から終盤、次第に甘みも渋みもどんどん膨らみを増す。アロマもこってりと強く濃くなってゆく。

煙多めでボウルは冷やして…一見矛盾するようだが、この感じがうまくいった時に濃くてキャラメルのような、あるいはフレンチローストの濃いカフェオレのようなアロマが周囲をまとわりつき始める。

過燃焼と紙一重のところ。ストライクゾーンが狭いというかラインが少ないというか、とにかく神経を使う。まるで板子一枚小船が揺らいでいるような感覚だ。でもスピード感はある。絶えず風と波を見ながらうまく操縦すれば海面を疾走することができる、確かに「ヨット」(もちろん命名の由来とは全く関係ないだろうけど)。

Tobaccoとしてのスペックも終盤でMAXを迎える。
人によっては「ニコチン酔い」を起こすかもしれない。
舌荒れの危険性は大きい。
そしてダンヒル特有の雑味。
喫後は霜降りのステーキを食べた後にこっくりとしたカフェオレを飲んだ時のような濃い余韻と充足感が口や鼻孔を支配する。このアロマの残像こそがこの葉の最高の個性。

ボウルは大きめのものがいい。できれば21mm以上。
火持ちは良い方ではない。味が尖りだしてきたら最後まで吸わずに、葉巻を連想しながら適当なところで残り葉を捨てて終了した方が旨味が残る。

ダンヒルは贅沢に燻らすのが似合う。

時間帯は午後または夜の食後。
合う飲み物はウィスキー、ブランデー、ラム、コーヒー。
1750円/50g(2014)

  1. 生葉芳香 弱←○○○○○★○○○→強
  2. 甘  み 少←○○○○★○○○○→多
  3. 味の濃淡 淡←○○○○○○★○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○★○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○★○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○○★○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○○★○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○★○○○○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○★○○○→高
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強

2014年6月22日日曜日

Dunhill Early Morning Pipe



ダンヒル・アーリーモーニング・パイプ
バージニア、ラタキア、トルコ葉
製造国:デンマーク(OEM)


葉様はややしっとりしたリボンカット。ツンとした燻製香が鼻に
飛び込んでくるが、同じダンヒルのMyMixture965に比べると格段に優しい。
965との表記上の違いは、キャベンディッシュか単なるバージニアかという違いだが
あまり細かい事は分からない。
喫味は序盤からバージニアそのもののやさしい甘みを味わえる。
ラタキアは引っ込んでいる。
アロマは軽くやや刺激的。

中盤以降は刺激的なアロマが増してくるが、喫味自体は最後まで甘く軽い。ミルキーな感じはない。炭酸飲料のようなキレ。
煙は少なめ、火持ちは良くも悪くもない。

925やロイヤルヨットのような渋みとこってりが絡み合ったアロマを朝から味わうにはやや抵抗がある人向けだ。
でも別に朝限定の葉ということでなく、現代特に日本の標準的な食生活とリズムの中で嗜好の違いによって選択できることはすぐに分かる。

そもそも朝からパイプをくゆらす余裕がある人は現代の世界にそれほど多く存在するとも思えない。一日の締めくくりにパイプにアーリーモーニングを詰めても別にいいと思う。ただ、喫味があっさりしている分、あまり味の濃い料理の後や疲れている時は物足りないかもしれない。ゆっくりスロースモーキングに徹するといい。


話はずれるがついでに書くと
パイプ喫煙の所要時間は普通のパイプで一回につきだいたい60分ほどかかる。
マッチは最低でも2本は使用する。

パイプは口元から離して放っておけば火は自然に消える。
詰め方や葉の湿度に問題があると、一所懸命に吸っても火は消える。

ながら吸いの場合にはタンピングの回数も減るから、それだけ火持ちも落ちる。
火持ちを気にしてスパスパやれば舌焼けを起こすしボウルが熱くなってしまうから、冷ますためにやはり火を一旦落とさなければならない。

そうして時間を置いてからまた火をつけてもパイプは美味しく吸うことができる。
だから厳密に言えば、時間的余裕がそれほどなくてもパイプはちゃんと楽しめる。
ただ、そうなってくるとマッチの本数は格段に増える。
もちろん火持ちが良くなくても、マッチの本数が増えても別段気にすることはない。

火持ちは吸い方の習熟よりも、葉の詰め方やどれだけパイプに集中できるかと関係が深い。

一方でロングスモークがtobaccoの味を最大限に引き出してくれるのも事実だ。
そして何よりもロングスモーク自体が楽しいレクリエーションだ。
何度もマッチをすらなくて済むし。

僕が目安としているのは、標準的な19mm径ボウルで約45分。うまくいけば60分を超えるが、45分も保って途中で消えたら残り葉があっても捨てて終了することにしている。
最後の最後まで吸うことを旨としているパイプスモーカーは多いけれど僕はやらない。

最後まで葉を燃やそうとしてボウルの底のほうで火を起こせば確実にボウルを過熱させてしまうし、何しろ苦労の割には味が良くない。それまでの喫味が台無しになってしまうこともある。

葉巻やシガレットなら決して最後まで吸ってはいけないというのは常識だが、パイプと言えども、やはり葉そのものがフィルターとして機能している分を差し引いて考える事は重要なことだと考えている。ほんのひとつまみ分だけど。

ダンヒルを始めとするイギリスブレンドは湿り気が多くて一般にロングスモークは難しいけれど、コツを掴んでしまえば実は舌焼けの危険性が少なく、長時間の喫煙では有利な点が多い。

ずっと咥えていても飽きも少なく、余計な香料や味付けがそれほどされていない分、葉の燃えが素直でタンピングがうまくいく。味も複雑で毎回新たな発見ができる。


アーリーモーニングはそんな葉のひとつ。火持ちも比較的良く甘くあっさりしている分、気軽にロングスモークにチャレンジして喫味の変化を楽しむことができる楽しいtobaccoだと思う。煙は極力少なめに、とにかくスロースモーキングに徹すると爽やかで味を引き出せる。
現行ダンヒルの中では比較的最後の最後まで吸っても味がそれほど落ちない。ただしスペックは高いので慣れてない人は終盤ニコチン酔いに注意。

午前中〜昼下がりに良い。空腹か、軽食の後。
夕食後〜就寝前にはやや喫味が軽く物足りないかも。
合う飲み物は、コーヒー、水、ミルク、紅茶、日本茶。
1750円/50g(2014)

  1. 生葉芳香 弱←○○○★○○○○○→強
  2. 甘  み 弱←○★○○○○○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○★○○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○★○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○★○○○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○★○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○★○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○★○○○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○★○○○○○○→強

2014年6月20日金曜日

MacBaren Virginia No.1




バージニア(無着香)


葉巻に比べると、パイプの味わいというのはややドンクサイところがあるなあと、常々思っている。

葉巻はご飯に例えると、コシヒカリ、あきたこまち、ひとめぼれ etc.etc...
品種産地素性の違いは大きい。そして炊き方一つでもう全く違う。と同時にそれを見極めるには感覚器官の微妙なセンサーを動員せざるを得ない。

だけどパイプ葉というのは、その違いがチャーハンかお茶漬けか丼ものか、といった調理法の違いのようなところがある。
逆に言えば、同じものをいつも同じ味わいでという訳にいかない。気候、体調、TPOに左右されたり、コラボするものでまるで違ったり。
夏の暑い日、バテ気味の時に焼き肉丼はキツイけれど、お茶漬けならいける。冷や汁ならなおさら…パイプ葉にはそんなところがある。

だからパイプ葉には絶対的優劣を付けるのはかなり難しい。ワインや葉巻のような絶対的テイスティングレビューがどうしてもパイプには似合わない。というか、しないほうがいい。レビューも十人十色だ。鍋の後の雑炊に入れる卵はかき混ぜるかそのままか、そのぐらいどうでもいいような評価の個人差が出る。それでいいと思っている。


バージニアNo.1は、そんなパイプタバコの中でも珍しく「コシヒカリ一番」とわざわざ銘打っている葉。
着香もキャベンディッシュもされていない、おそらく最低限の熟成のみで加圧〜カットされている。白飯でお召し上がり下さいというところか。

葉様は圧縮した後のフレークカットで湿度はそこそこ。もみほぐしせず、そのままの状態で丁寧に(かつ緩めに)詰めていった方が火持ちも味も良い。火持ちのコツは縦に詰めていくことと空気の通りを通常より良くした状態にすること。

できれば少し加湿または保湿した状態で保管して、取り出した時にもみほぐす代わりに室温で数分自然乾燥させつつ火をつけるといい。火持ちはとても良い。
うまく吸えれば最初からジェラートかシャーベットのような軽い甘みが口の中に広がる。煙量はやや多めでアロマは小さいが若々しい。
ルームノートも若く熟成されていないタバコの匂い。
舌焼けの可能性は高いので、努めてスローバーニングを心がける必要あり。

中盤以降、アロマがややこってりしたものに変化していく。
味は単調で、穏やかな甘味が続く。
飽きは少ない。
シガレットからパイプに移行する人にとっては入りやすい葉だと思う。
ただし熟成が足りないのかニコチンがやや多めの感。人によっては酔いがあるかも。

総じて爽やかな葉。はっきりした味気は少ないが、日本的な淡白さと甘さ。
シャグでいうところのアメリカンスピリット、特にペリクに似ている。
もみほぐしが要らないのも気軽。
ボウルの大きさは問わない。

朝〜昼食後に良い。逆に夜には合わない。
合う飲み物は、コーヒー、紅茶、水。
1230円/50g(2014年)

  1. 生葉芳香 弱←★○○○○○○○○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○○★○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○★○○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←★○○○○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○★○○○○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○○○★○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○○★○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○★○○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○★○○→有
  10. 個  性 弱←○○★○○○○○○→強

Rattray's Black Mallory




ラタキア、バージニア(キャベンディッシュ)、トルコ葉

元々スコットランドのパイプ葉。現在はドイツ生産。
とにかくラタキアを味わいたいと思ったら、このラットレー・ブラックマロリーがいい。

葉様はリボンカットで繊細。モイスト(水分多め)、蓋を開けた瞬間にラタキアとおそらくキャベンディッシュの強い燻製香が鼻をつく。


葉様はしっとり。中ぶたの紙に葉がくっついて紙がふやけるほどに湿っている。

それほどもみほぐしは要らないが火持ちに自信がない場合はしばらく外気に触れさせて水分を抜いた方がいい。
喫味に全く尖ったところがないので、少しぐらい乾いても大丈夫。

序盤は豊かな煙とアロマ。ただしタバコのそれではなく、まるでウィスキーの樽を焦がしているのでは?というほどのカスク香。

ラフロイグなどアイラの香りの強いモルトと本当に良く合う。

中盤から甘みが増してくるが、それは他の蜂蜜のように甘いタバコのそれではなく、日本のご飯やフランス小麦のパンを素で噛み締めて出てくるような滋味の甘さ。

ラタキア独特のまろやかな渋さは最後まで続く。
ルームノートは火が消えればスッと引いてゆく。

舌焼けの心配は非常に少ない。ラタキアやカスクがキライでなければ、フルボディとは言いながらチェーンスモークもできるほどに軽やかな喫後。

夕食後〜就寝前がおすすめ。
合う飲み物はウィスキー、水、焼酎。

価格:2250円/50g(2014年)


  1. 生葉芳香 弱←○○○○○○★○○→強
  2. 甘  み 少←○★○○○○○○○→多
  3. 味の濃淡 淡←○○○○★○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○★○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○★○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○★○○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○★○○○○○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○★○○○○○○→良
  9. 常  喫 無←○○○○★○○○○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○○★○○→強

2014年6月18日水曜日

Dunhill MyMixture 965




ダンヒル・マイミクスチュア965
キャベンディッシュ、ラタキア、トルコ葉。
製造国:デンマーク(OEM)

名作にしてスタンダードなイギリスタバコの代表。
日本でもおそらくパイプ喫煙者支持率ナンバー1だと思う。
ここで改めて何かレビューをする必要もないほど。

ラタキアという独特の香りを持つ加工葉を程よくブレンド。
ラタキアはシリアのラタキア発祥の加工葉で(アレッポといいシリアはいいものが沢山あります。早く平和に戻ってくれー!)分かりやすく言うならタバコの燻製。独特の香りと風味が、パイプの味わいを深くしてくれる。
しかし国内のネットを見ていると、ラタキアや、ラタキア入りのこの965を初心者向きのタバコとして紹介しているレビューに出会う事がある。
本当にそうだろうか。

確かに例えば初心者にパイプ喫煙の素晴らしさをテットリ早く知ってもらうには、マイミクスチャー965はうってつけだと思う。
でも、これを始めとするイギリスタバコはやはり上手に吸うのは難しい。
旨さの片鱗はすぐに分かっても、プレミアムシガーと比肩すると云われる独特のアロマを醸すには相応の年季とコツやタイミングが要る。なんといっても火持ちがよろしくない。

マイミクスチャー965をプレミアムシガーになぞらえる評にはネット上で賛否両論出ているが、僕の場合はシガーと965が同じとか違うとかいうのではなく、比肩するほどのタバコ本来の深く複雑なアロマを965は確かに持っているという評を表明しておきたい。

ただしそれを引き出すのは簡単ではない。比肩というのは例えばダヴィドフがハバナに比肩しながらハバナではないのと同じ。ダヴィドフがハバナでなくなってから長い年月を経て、世界中の優れたタバコをブレンドしてハバナを超えるほどの高貴なアロマをたくわえてはいるけれど、加湿を間違えばやはり酷いもんだしダヴィドフを美味く吸うにはシガーの事をよく知る必要がある。そしてダヴィドフのアロマとハバナのアロマはやはり決定的に違う。


965は最終的に上がりのパイプ葉になるような気がなんとなくしている。
長い中断を含めて30年間、Tobaccoと付き合ってきても、例えば無人島にTobaccoをどれか一つ持って行くならどれ?と聞かれたらやはり迷わずこれを選ぶだろう。

他に旨いtobaccoはいくらでもある。同じダンヒルで選んでも、例えばRoyalYachtと較べて決してアロマが強いタバコではない。でもロイヤルヨットを一日中は喫えない。
強すぎず弱すぎず、要するにちょうどいい。パイプtobaccoを扱っているお店なら全世界どこでも手に入る。いろんな銘柄のいろんな味を知り、結局ここに戻ってくるみたいなそんなちょうど良さ。

長く付き合うのだから、濃すぎて飽きてもいけない、あっさりすぎて物足りなくてもいけない、浅くも吸えるが、深くも吸える。そういうもの。それはラタキアと無着香キャベンディッシュとオリエントのブレンドでなければ手に入らないと思う。

生葉はラタキア本来の燻製香と熟成香でむせかえるようだ。葉様はしっとり。
OEMになってから着香されているとの評もあるが、一見して例えばロイヤルヨットのような明らかな着香の痕跡は見られない。

火を付けた瞬間に癒しと沈思の淵に持って行かれる。序盤は甘みは少ない。お香やアロマテラピーにも似ている。火持ちはイギリスタバコの常で決して良い方ではない。ボウルは大きめのものを選びたい。

中盤から味は甘みが多くなり、アロマは徐々に少なくなっていく。ここで丁寧に吸えば甘みと雑味が程よくキープされる。急いで吸えば野性味を味わえる。

時間帯は夕刻から就寝前。
合う飲み物は、ウィスキー、コーヒー、日本茶、中国茶、水。
1750円/50g(2014年)


  1. 生葉芳香 弱←○○○○○○★○○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○★○○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○○○○★○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○★○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○★○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○★○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○★○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○★○○○○○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強

2014年6月16日月曜日

Jose Llopis Mini


Jose Llopis(ホセジョピスと読むらしい)。
だいぶ前に冗談のつもりで買ったパナマ産の安物ミニシガー。

ハンドメイドのプレミアムシガーと書いてあるにもかかわらずヒュミドールにも入っておらず紙箱むき出しの状態でアヤシイ加賀屋(新宿紀伊國屋ビルの奥にある老舗の煙草屋さん)の店内に吊るし置いてありました(セロハンもなし)。

このままじゃ不味くて吸えまいとしばらく加湿してました(不味いシガーでも加湿熟成すると吸えるようになることがある)。
すっかり存在を忘れていたのですが今夜ふと見つけて試しに火を付けてみると、びっくりするほど美味で驚いてしまいました。

シガーはやはりハバナ産が一番ですが、日常的に灰にできるほどの身分では「まだ」ありませんので、ドミニカとかニカラグアとかの安物を試してはほぼ10割の確率でハズレを引きっぱなし。シガーは農産物なので、当たり外れも大きいのです。半ば諦めてハバナ産のシガリロ(シガレットサイズの小さな葉巻)をちみちみやっておりました。

しかしこれは久々にヒットかも知れません。1本あたり180円。これならクラブシガー(シガリロのワンサイズ上)より大きくて経済的でデイリーシガーに十分なり得る。
大きさはパナテラ(いわゆるシガー最小サイズ)とクラブシガーの中間ぐらい、バーに持ち込んでもゆっくりと味わえます。

安葉巻にありがちな金属臭や辛味もほとんどなく、アロマが強くて甘く、堆肥っぽさがハバナを野生化した感じ。

海外サイトを見ると、フィラーとバインダーがパナマでラッパーがニカラグアとあります。箱にはハバナシードと書いてある。アメリカではハバナが手に入らないので(1960年代以来、経済制裁のため禁輸)、こういう事をやって代用してるんですね。
唯一の難点は、加賀屋でしか手に入らないことかなあ。

2014年6月1日日曜日

Stanwell Vanilla



ダークキャベンディッシュ、バーレー、バージニア、熟成トルコ葉、バニラ

封を切った瞬間に甘いバニラと蜂蜜(もしくは砂糖)の甘い香りが飛び出してくる。バニラと言えばシャグのコルツバニラの印象を僕は強く持っているが、火をつけるとアロマがどこかに飛んでしまうシャグとは違って、これは火を付けてからもバニラの香りは消えずにアロマやルームノートとしていつまでも楽しめる。

もっともパイプタバコでバニラフレーバーというのはたくさんあってその中でスタンウェルが抜きん出ている訳ではない。非常に素直でルームノートに嫌味がないので気軽に吸える。とにかくバニラの香りで満たされる。蜂蜜とバニラ、それ以外の雑味や深みはない。
とにかくスタンウェルは素直でシンプル。昼間からバニラじゃ重いかなあと思っても、日が傾き始めたら意外に手が伸び、スッキリ吸えたりする。

葉様がしっとりしていて水分が多めに感じるが序盤の火持ちはまあまあ、舌焼けの心配は少ない。葉のカットがやや大きめのラフカットなので少しほぐしが必要。揉むと指がキャベンディッシュで黒くなり、バニラと糖分でべとつく。終盤から火持ちが悪くなりがちで、ジュースは出ないが固まりがちで葉起こしが何度か必要になる。タンパーとピックを交互に使い分けする必要があるので、ながら吸いには向かない。喫後、飴のようにボウルにタールがつくので掃除にやや手間。カーボンを手早く付けたい人にはちょうどいいかも。
夕食後がおすすめ。合う飲み物はホットミルクまたはミルク入りのコーヒー。

価格:1250円(2014年)

  1. 生葉芳香 弱←○○○○○○○★○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○★○○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○○★○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○★○○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○★○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○★○○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○★○○○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○★○○○○→良
  9. 常  喫 無←○○○★○○○○○→有
  10. 個  性 弱←○○○○★○○○○→強