パイプスモーキングの醍醐味は様々な個性のtobaccoの味わいが楽しめることです。
あまりに種類が多く、味わいや特徴が忘却の彼方に消えてしまったものも多々あり
自分の備忘録のためにテイスティングノートをつけ始めました。

パイプ葉は個人の嗜好性や飲み物、時間帯、体調、パイプによってもかなり変わります。
なるべく主観に流れないように書くよう注意は払っているつもりですが、あくまでも参考程度にされてください。お役に立てれば幸いです。
ついでにシガーやRYO、ウイスキーについても少し触れています。

2014年6月24日火曜日

Dunhill Royal Yacht Mixture





ダンヒル・ロイヤルヨット・ミクスチュア
バージニア、プラム
製造国:デンマーク(OEM)


ロイヤルヨットは、20歳の時、初めてパイプとこれとHalf&HalfとSweetDublinを購入、盛大な舌焼けを起こしてパイプ生活にのっけから暗雲が垂れめた思い出の葉だ。
久しぶりの再会。


とは言え当時のロイヤルヨットと今のロイヤルヨットとではだいぶ違う味がするような気がする。OEM供給元が変わっているせいもあるとは思うが、自分の技術の変化もあると思う。今はクール&ドライスモーキングも多少上達しているはずなので、当時よりも少しはマシな感想が書けるかもしれない。

それを差し引いても他のレビューとはかなり違う自分の感想に一抹の不安が残りつつ…。

まず最初に書いておかなければならないのは、多くの評判にあるところの「ミルキー」「スイート」「マイルド」「紅茶」という評価はここでは残念ながら出てこないという点。
この葉は、ストロングだ。
甘みはもちろんある。マイルドさも持つ。
けれど僕のロイヤルヨットの全体的印象は今も昔も「渋く」「太く」「こってり濃く」「固い」。

パッケージには「Exceedingly Mild with a Grand Rich Fravor」とあるが「Exceedingly Mild」のところはちょっと違う。StrongでなくてもせめてMediumぐらいはある。自己流の表現をすればExceedingly Robust」。
甘さを引き出すためにはパイプスモーキングの基本のスロー&クールが要求される


缶を開けた瞬間、圧縮熟成葉と甘酸っぱいフルーツの香りがする。しかし同時にクリーミー。この辺はダンヒルの他のラタキアミクスチャーとは一線を画す。

海外のレビューでは「Plum Fravored」という説明が散見する。元々ダンヒル内製だった頃は当然ノンフレーバーだったはずだから(現在はデンマークの会社のOEMになっている)、レシピが変わってなければプラムなど入っているはずもないのだけれど、実感は明らかにプラムだ。
香料制限の法律もイギリスで消えて久しいし、ましてEU製になってからレシピもいくばくかの変遷はしているのだろう。

プラムフレーバーと言ってもかなり控えめで、葉そのものの香りを支配するほどではない。狙いはプラムそのものの香りではない気がする。圧縮葉の熟成香の酸味とクリーミーがあいまったフルーツヨーグルトの様な香り。
このフレーバーはルームノートに特に反映されていて、パンチの効いた濃い甘さを演出している。
葉様は褐色のリボンカット、965やアーリーモーニングと違いラタキアは一切入っていない。

喫味は吸い方でかなり変わる。
火種も煙も最小限にしてスロー&クールに徹した場合は「スイート」「ミルキー」という表現が合うが、実はあまりスロー&クールに徹してしまうと単調でしつこい甘みだけが続きこのtobaccoの良さは出てこないように思う。

いつよりやや煙を多めに心がけると生葉からは想像できないほどにパンチが効いてガツンと来る。
甘みと酸味、渋みと辛味が遠慮なく一気に広がる。
過燃焼では決してない。
アロマは芯は若く青々として強いが、甘くフルーティな熟成香が伴い、複雑でノスタルジック。これがこの葉の素性。

序盤から甘みと渋みのハーモニー。中盤から終盤、次第に甘みも渋みもどんどん膨らみを増す。アロマもこってりと強く濃くなってゆく。

煙多めでボウルは冷やして…一見矛盾するようだが、この感じがうまくいった時に濃くてキャラメルのような、あるいはフレンチローストの濃いカフェオレのようなアロマが周囲をまとわりつき始める。

過燃焼と紙一重のところ。ストライクゾーンが狭いというかラインが少ないというか、とにかく神経を使う。まるで板子一枚小船が揺らいでいるような感覚だ。でもスピード感はある。絶えず風と波を見ながらうまく操縦すれば海面を疾走することができる、確かに「ヨット」(もちろん命名の由来とは全く関係ないだろうけど)。

Tobaccoとしてのスペックも終盤でMAXを迎える。
人によっては「ニコチン酔い」を起こすかもしれない。
舌荒れの危険性は大きい。
そしてダンヒル特有の雑味。
喫後は霜降りのステーキを食べた後にこっくりとしたカフェオレを飲んだ時のような濃い余韻と充足感が口や鼻孔を支配する。このアロマの残像こそがこの葉の最高の個性。

ボウルは大きめのものがいい。できれば21mm以上。
火持ちは良い方ではない。味が尖りだしてきたら最後まで吸わずに、葉巻を連想しながら適当なところで残り葉を捨てて終了した方が旨味が残る。

ダンヒルは贅沢に燻らすのが似合う。

時間帯は午後または夜の食後。
合う飲み物はウィスキー、ブランデー、ラム、コーヒー。
1750円/50g(2014)

  1. 生葉芳香 弱←○○○○○★○○○→強
  2. 甘  み 少←○○○○★○○○○→多
  3. 味の濃淡 淡←○○○○○○★○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○★○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○★○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○○★○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○○★○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○★○○○○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○★○○○→高
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強

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